ちくま新書
日本の文字―「無声の思考」の封印を解く

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  • サイズ 新書判/ページ数 246p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480067043
  • NDC分類 810
  • Cコード C0281

出版社内容情報

日本語は三種類の文字をもつ。この世界にまれな性格はどこに由来し、日本人の思考と感性に何をもたらしたのか。鬼才の書家が大胆に構想する文明論的思索。

内容説明

漢字、ひらがな、カタカナ―。日本語は三種類の文字をもつ。この世界にまれな性格はどこに由来し、日本人の内面に何をもたらしたのか。文字の問題を構造的にとらえ、文体に蓄積された思想と感性を追究していくことによって、日本文化の不思議さをさぐり、日本とは何かという問いの核心に迫っていく。鬼才の書家が大胆に構想する文明論的思索。

目次

序章 なぜ日本語だけが三種類の文字をもつのか
第1章 文字再考
第2章 漢字、ひらがな、カタカナ
第3章 書く文明、話す文明
第4章 点画の書法―東アジアの「アルファベット」
第5章 文字と文体
第6章 堕ちゆく日本語の再生

著者等紹介

石川九楊[イシカワキュウヨウ]
1945年福井県越前市生まれ。京都大学法学部卒業。書家。批評家。主な著書に『書の終焉』(同朋舎出版、サントリー学芸賞)、『日本書史』(名古屋大学出版会、毎日出版文化賞)、『近代書史』(名古屋大学出版会、大佛次郎賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ネムル

12
著者のボイスが強くなると、やっぱり爺の戯言みたくなるね。だが、ひらがな誕生までの話し言葉・書き言葉の歴史、またひらがなとカタカナの違いなどをまとめた前半は知らない点も多く面白い。特にひらがな誕生前夜の万葉仮名については夜露死苦くらいの認識でしかなかったが、その凝り方はいま多和田葉子がやろうとしている試みに非常に近く、というか意識してないわけはないだろうが、大いに興味を持った。2017/11/29

sabosashi

10
漢字というのはもともとは中国文明が生み出したもの、したがって中国の読み方しかなかったが、それがニホンにはいるとニホン語の意味によってあらたな音を付け加えられた。それが音読みと訓読みである。これはだれでも知っていること。    漢字のことはイデオグラマといい、音よりもまず先に意味が存在する。  漢字は表意文字であり、ひらがなとカタカナは表音文字である。  毎学期、そんなことをわたしは繰り返している。  そんな漢字を、鈴木孝夫は、ハイブリッド文字だとか、ずっと前に言った。 2019/09/11

壱萬弐仟縁

8
日本の代名詞、つまり最も美しい日本とは、著者によると、「寸松庵色紙」とのこと(019頁)。ひらがなに、漢字を充てている感じだ。声を耳で聞くことと、文字を目で読むこととは根本的に異なる(106頁)。耳学問と文献学の違いのようなものか。196頁にあるように、昔の先生は黒板の文字が美しかったとの指摘がある。評者は全く自信がない。ま、不適格かどうか。それでも丹精は込めたいと思った。書道というか、手書きの価値は池上先生によく教えてもらった。この手書きの固有価値を吾々PC世代はしっかり尊重していかねば担い手たり得ぬ。2013/06/08

海星梨

4
ところどころ、怪しさがにじむが、最終章ですべてをぶち壊す様はむしろ爽快。小学校低中学年でパソコンに親しむ機会がなければ、今のIT化社会からおいていかれる人が出るのは必定、貧困層の子どもからインターネットの正しい使い方を教わる機会を奪えば、情報弱者が誕生する。だいいち、万人が万人、うまい文字を書けるわけじゃない。身体障害者や機能が衰えた高齢者はワープロを使ってもよろしい、とはなんと傲慢な言葉だろうか。そこまで書字が大切ならば、本も手書きし、すべて自分で写本すればいい。2019/11/04

Rieko Ito

1
著者は書家なので、書法に関する話は永字八法の他にも変化法があることが詳しく書かれていたりして面白い。しかし言語学の専門家ではないので、そのあたりは?の意見もいくつかある。モンゴルの縦書き文字、アラビアの書道、漢字の表音文字的側面などすべて無視されている。最終章のワープロが文化を消失させるという主張に至っては、老害の極み。この本が書かれたころはまだスマホは普及していなかったが、フリック入力はひらがなで入力するのだが、スマホは日本文化を守る救世主かな。 2023/11/01

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