ちくま新書<br> 現代語訳 福澤諭吉幕末・維新論集

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ちくま新書
現代語訳 福澤諭吉幕末・維新論集

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  • サイズ 新書判/ページ数 206p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480066534
  • NDC分類 304
  • Cコード C0295

内容説明

福澤諭吉の著した数多くの評論の中から、幕末・維新期の社会の様子を鋭く観察し画期的な提言が冴える四編を厳選して平易な現代語訳とした傑作選。旧幕臣の勝海舟・榎本武揚を筆で斬り、賊軍の首魁として散った西郷隆盛を弁護する。過去の封建社会・身分制の実情を浮き彫りにし、官尊民卑の風潮に痛烈な批判を浴びせ、民に用意された無限の可能性を力説する―新しい時代にふさわしい鮮やかな筆致で「この国のかたち」を大きく描き直す過程において何が必要か、我々に大きな示唆を与えてくれる。

目次

旧藩情(旧中津藩士の身分;上士と下士は権利が違った ほか)
痩我慢の説(立国は公ではない;忠君愛国の美徳は相対的なもの ほか)
明治十年丁丑公論(西郷を誹謗する論説の流行;新聞記者の論調の浅はかさ ほか)
士人処世論(立身の道は官吏だけではない;官吏の世界は極楽ではない ほか)

著者等紹介

福澤諭吉[フクザワユキチ]
1835(天保5)年~1901(明治34)年。著述家、教育者。「時事新報」発行人。近代日本最大の啓蒙思想家。慶應義塾の創設に力を尽くした

山本博文[ヤマモトヒロフミ]
1957年生まれ。東京大学大学院情報学環・史料編纂所教授。専門は江戸時代の政治外交史研究および武士研究。著書に『江戸お留守役の日記』(第40回日本エッセイスト・クラブ賞、講談社学術文庫)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

横浜中華街2024

10
19世紀に書かれた福沢による小論集。どれも「学問のすすめ」同様、福沢の反骨精神や知的水準の高さ、現代性を伺わせる内容で、かつ面白い。勝海舟と榎本武揚を批判した「痩せ我慢の説」や、西南戦争当時に起きた維新英雄であった西郷に対するバッシングを批判する「丁丑公論」など、当時の時世を理解できる内容で興味深い。「学問のすすめ」を読んだとき同様、日本社会は19世紀当時からあまり進化していないという感じを受ける。2021/04/13

おせきはん

7
江戸時代の武士の中での身分制度を描写した『旧藩情』、学問を修めた若者が官吏を目指す官尊民卑の風潮を批判した『士人処世論』などから、当時の様子がよくわかりました。2017/05/19

めい

4
福沢諭吉の本は3冊目だが明瞭かつ理路整然とした文章は読みやすく、憧れてしまう。4つの作品が収録されている。「旧藩情」は当時の武家社会の内情を書いており興味深い。「士人処世論」は若者が今でいう公務員を目指していることを嘆くもので、制度が違う部分も多いので一概には言えないが、今の世も同じだなと。ここまで普遍的な話ができるのも凄い。勝海舟と榎本武揚を批判した「痩せ我慢の説」や、西南戦争当時の西郷隆盛への批判に対する「丁丑公論」も面白い。また解説が分かりやすい。2016/11/08

日暮里の首領様

4
これは面白い試み。なるほど、『旧藩情』も『痩我慢の説』も彼は時評として書いたのだから、これは岩波文庫に閉じ込めておくよりも、むしろ新書で当時の「リアルタイム」を追体験した方が、面白い。封建制を批判する『旧藩情』、官の権威に抗する民の活力を訴える『士人処世論』。「賊」西郷を専制への反逆者として評価する『丁丑公論』、そして自然の公道ではない、人間の私情としての国家・主君へのアタッチメントとして、「痩我慢」の情を重視する『痩我慢の説』。偉大なリベラル・ナショナリストのユニークな立位置を再確認できた。2012/12/15

清作

4
福澤諭吉の政治・社会評論の中の『旧藩情』『瘦我慢の説』『明治十年丁丑公論』『士人処世論』の現代語訳本。それぞれ読んで、江戸時代の武士の間での身分格差や明治時代の官尊民卑の実態、西南の役当時の民衆の西郷に対する評価とその評価と反対の立場に立つ福澤の考えなどがよくわかる。特に私は西郷に対して維新へは貢献したものの結局最後は薩摩の士族の為に反乱を起こした程度の認識だったが、その反乱は政府が原因で起きたことなどを知り、彼に対する考え方が改まった。続く↓2012/03/13

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