ちくま新書<br> 閉塞経済―金融資本主義のゆくえ

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ちくま新書
閉塞経済―金融資本主義のゆくえ

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  • サイズ 新書判/ページ数 199p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480064400
  • NDC分類 332.107
  • Cコード C0233

出版社内容情報

サブプライムローン問題はなぜ起こったのか。格差社会がなぜもたらされたのか。現実経済を説明できなくなった主流経済学の限界を指摘し、新しい経済学を提唱する。

内容説明

サブプライムローン危機が世界を揺るがしている。その原因を知るには、バブルの発生・崩壊のメカニズムと、七〇年代以降の世界のお金の流れを押さえる必要がある。一方、日本国内を見ると、九〇年代以降、政府当局は「構造改革」と「金融自由化」により長期不況を脱する道を選んだが、この選択は果たして正しかったのか。政策のバックにある主流派経済学では、もはや問題を解決できず、格差の拡大など、社会の傷を深くするばかりだ。経済学の限界を指摘し、日本社会の現状と将来を見据えた新しい経済学の可能性を探る。

目次

序 戦後最大の米国不況をどうとらえるか―金融資本主義の経済学
第1章 バブルの経済学―サブプライム危機はなぜ起きたか(バブルはなぜ起こるのか;バブルはなぜ繰り返されるのか;バブル崩壊に対して経済学は役に立つのか)
第2章 構造改革の経済学(供給サイドか需要サイドか;構造改革はどういう結末を迎えたのか;制度改革にはどういう思想が必要か)
第3章 格差とインセンティブの経済学(「正義の問題」と経済学;インセンティブ理論の落とし穴;新しいタイプの不平等)

著者等紹介

金子勝[カネコマサル]
1952年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授などを経て、慶應義塾大学経済学部教授。専門は財政学、制度の経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

19
2008年初版。小泉構造改革への著者の憤り、結果的に生み出された格差社会。確かに小泉氏によってぶっ壊されたものはたくさんあり、その後遺症も年々傷口が開く一方だ。国民を幸せにするための経済学であってほしいのだが、逆に働いている感が否めない。2014/04/24

ふみすむ

13
制度経済学を研究しているだけあって、独自の視点から主流派経済学を批判している。サブプライム危機の最中に書かれた本(2008年初版)で、前半は金融資本主義の分析、後半は自民党が主導してきた構造改革の是非を財政学の視点から歴史的に検討している。知識の普及を狙って新書で出しているようだが、初等の経済学を理解していなければ読み進めるのは困難な内容である。数度の挫折を経て、今回ようやく読み終えることができた。2015/09/08

Kentaro

4
1997年の東アジア通貨危機98年のヘッジファンドのLTCMの経営破綻、2000年のITバブル崩壊、01年の911同時多発テロ、03年のイラク戦争と、金融市場が危機に陥りそうな事件が相次ぎ、国際協調による通貨供給が実施され、世界中に投機マネーが溢れかえり、行き場を失ったお金が利益を求めて、次々と金融商品を作り出しては、一部の米英企業の富裕層にのみお金を循環させた。こういった金融商品は土地バブルで消費を謳歌していた米国にサブプライムローン問題として大暴発した。そしてお金が一人歩きする経済が貧困を増加させた。2018/07/11

tolucky1962

4
2008年、経済政策への批判書。経済学の未成熟さはバブルを繰り返し、国債と格差を残した。金融立国で儲けた米国の後を追っても日本はもう富を得られないでしょう。証券化はリスク分散のつもりだが不可視となったリスクが大きなバブルとしていずれ崩壊する。これらは原発(事故なければ良いが爆発した時の損は大きい)や安保(今、世界の警察になっても得るものはない)にもつながるのでしょう。 公共事業をするなら土建でなく教育・技術に向け、次のあらたな産業改革を育てるべきでしょう。2015/08/02

La Principita

4
過去の経済政策に関する部分は(平易に説明されているにも拘らず! )、経済の知識の浅い私には少し分かりにくい箇所がありましたが、制度改革については幅広い視点から興味深い提案がなされていました。経済・技術・環境…すべからく状況が変化しており、既存の経済理論が機能するとは限らない。「多様性」に着眼し、制度改革を進める必要、には納得がいくものの、金子先生の理想が現実の社会で機能するのか、これまた知識のない私にツッコム余地はなく…でも、現在の日本経済に1つの可能性を提案してくれる耳障りの良い書でした。2010/09/21

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