ちくま新書
ヤクザと日本―近代の無頼

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  • サイズ 新書判/ページ数 270p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480063960
  • NDC分類 368.5
  • Cコード C0236

内容説明

ヤクザとは何者なのか?法の支配がおよばない炭鉱・港湾などの最底辺社会に生きた者たちが、生きんがために集まり発展したのが近代ヤクザの始まりといえる。彼らの存在が日本社会の近代化を下支えしたという現実。日雇い派遣、ワーキングプアなど、あらたな下層社会が形成されつつある今こそ、ヤクザの歴史を振り返ることで、現代社会の亀裂を克服する手がかりがみつかるにちがいない。

目次

序章 ヤクザ観の相剋
第1章 ヤクザの源流―カブキ者から博徒まで
第2章 近代ヤクザの成立―川筋から、港から
第3章 親方・子方関係とヤクザ―下層労働力統括者としての近代ヤクザ
第4章 ヤクザと芸能の世界―周縁仲介者としての近代ヤクザ
第5章 ヤクザと近代国家―社会的権力としての近代ヤクザ
第6章 義理と人情、顔と腹―日本的社会関係と近代ヤクザ
第7章 山口組概略史―近代ヤクザの典型

著者等紹介

宮崎学[ミヤザキマナブ]
1945年京都生まれ。父は伏見のヤクザ寺村組親分。早稲田大学中退。在学中は日本共産党系の学生運動に参加、ゲバルト部隊の最先頭で、対立党派との衝突をくりひろげる。その後週刊誌記者などを経て、実家の建築解体業にもたずさわる。それらの経験を描いた『突破者』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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モリータ

13
◆2008年刊。2007年刊の『近代ヤクザ肯定論』と相補するもので、山口組の歴史から見た近代ヤクザ史であった前著に対し、近世以前の無頼・ヤクザ史を踏まえつつ、近代日本社会の労働組織における「親方・子方」関係や芸能と周縁社会の関係、「義理と人情、顔と腹」といった、より俯瞰的・包括的な視点で論述。◆第7章「山口組概略史」の冒頭(pp.231-235)で筆者のヤクザの史的展開の基本的な認識が非常に簡潔にまとめられている。◆前著も含め、大窪一志との共同作業により完成したことが述べられている(p.264)。2021/03/08

里馬

12
非常に上手く纏め上げられていると思う。情報を切り貼りしただけのアウトロー物はよくコンビニで見掛けるが、それらは文字通りのスクラップ。宮崎学は勉強量も然る事乍ら、編集能力が高い為読み易く理解が早い。他の著作にも当たりたい。2009/08/01

姉勤

10
誰しも、満足な境遇や、カタギの頼れる肉親縁者、羞じない出自、犯罪者の烙印を押されなければ、ヤクザにならないだろう。ヤクザを滅する法や罰をいくら作っても、ひとの中からヤクザが生まれる因果は消えないし、消えないのなら特殊だとしても存在を認め、共存するシステムを模索するのが叡智だと思うが、綺麗な全体主義に向かう気配の中では無体な話か。2012/10/20

お萩

8
一口にヤクザと言ってもその派生の仕方は様々で派生が様々なら性格も異なって...という発生と衰退の歴史を辿り、歴史を踏まえて最終章で山口組のことがまとめられていたのでわかりやすかった。2016/06/16

おらひらお

6
2008年初版。日本のヤクザの誕生と展開を歴史的に概観した本です。意外とドロドロとした話はなくすっきりとした内容でした。ヤクザを公権力との対比でみたところは参考になりました。2012/09/09

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