ちくま新書
ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性

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  • サイズ 新書判/ページ数 221p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480063915
  • NDC分類 547.48
  • Cコード C0265

内容説明

ブログやミクシィで、ある人物への非難が燃え上がり、収拾不能になることがある。こうした現象を「炎上」と言う。時に何千もの批判が押し寄せ、個人のプライバシーすら容赦なく暴かれる。有名無名を問わず「炎上」の餌食となるケースが頻発する今、そのメカニズムを明らかにし、そうした集団行動(サイバーカスケード)にはポジティブな側面もあることを指摘する。ウェブという「怪物」の可能性を見据えた、現代の「教養」書。

目次

1章 ウェブ炎上とは何か(日常化したインターネット;注目を集める「web2.0」 ほか)
2章 サイバーカスケードを分析する(デイリー・ミーとエコーチェンバー;エコーチェンバーがもたらす分極化 ほか)
3章 ウェブ社会の新たな問題(イラク人質事件へのバッシング;「自作自演説」というハイパーリアリティ ほか)
4章 ウェブ社会はどこへ行く?(サイバーカスケードの功罪;ネットがもたらす過剰性 ほか)

著者等紹介

荻上チキ[オギウエチキ]
1981年生まれ。東京大学大学院情報学環・学際情報学府修士課程修了。メディア論、テクスト論を武器に、さまざまなメディア、作品、コミュニケーションを分析するテクスト批評家。ブロガー。人文社会科学系のニュースやウェブサイトを幅広く紹介するサイト「トラカレ!」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shinano

16
自分が思っていたウェブ炎上への厳しい本ではなく、学術的であり、メディア論・ウェブ論と社会学・社会心理学の観点で過去(ウェブ登場以前のマスメディア上と近年でのウェブ上で)の騒動のメカニズムと学術専門用語での解説で終止した一冊であった。論旨を広く設けなくては、ウェブやネット世界での人間・人間たちの思考や感情の可視化(表出)がデマ化したり、どうように一元集団化やリアリティ度を増して、カスケード(大きなひとつの収束した流れへと向う)していくのかを説明できないようです。炎上への道筋はまあ解った。2010/12/24

サイバーパンツ

12
サイバーカスケードは、「可視化」「つながり」をより強化し、ビジネスや議論の活性化を促したが、その一方で、ネガティブな暴力を表面化させることとなった。それが炎上である。またそこに、ハイパーリアリティの自走が加わって、言説がひとり歩きし、ネガティブな帰結が生じうることにもなった。著者はそのようにネットのネガティブな現象の原因を指摘していくが、その一方で、このような現象は、今まで起こってきたことが、形を変えただけとして、安易に「インターネット=悪」としていないので、たいへんバランスのとれた良書となっている。2016/08/08

かしまさ

8
ネットの「炎上」が起こるメカニズムについて、実際の例を挙げながらメディア論的に解説した本。ちょっと難しかった。炎上が起こる原因はネットを使う人が特別異常だからという訳でもなく、自ら情報を取捨選択しているように見えて「選ばされている」側面もかなり大きく、ネット以前には考えられなかった大きなうねりを引き起こしうるところにあるらしい。安易に流されるのは良くないってことですかね2022/06/07

しぃたろ@記録の一部が消失:(

8
本書の内容は、インターネットの現状について著者の意見を軽く述べた程度の軽い物だった。ホームページやブログを炎上させない為のノウハウとしては役に立たないと思う。ただインターネットが新たな問題を生み出したのでは無く、これまでの日本の社会にも存在していた問題がインターネット上で可視化される様になったという意見は、多くの人から共感を得られると思う。2011/10/04

白義

8
古典的な群衆心理学とメディア論をおさらいしながら、可視化とつながり、つまり簡単に見えてコピーやリンクできちゃうウェブの機能だが、これがサイバーカスケード、ウェブ炎上の土壌にあると指摘する。一方で、古典的な群衆心理と変わらないとこもあって、新しい現象とも言い切れない。ここら辺のバランスのよさが本書の魅力と言えるだろう。社会心理学とメディア論の入門書として好適。荻上氏のメディア論、ネット論はどれも良質である2011/03/09

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