ちくま新書
東アジアの終戦記念日―敗北と勝利のあいだ

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  • サイズ 新書判/ページ数 253p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480063731
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0220

内容説明

八月一五日に「終戦」を記念する国は少ない。日本以外では韓国・北朝鮮がこの日を独立の記念日にしているにすぎない。中国では九月三日が勝利の日、台湾では一〇月二五日が光復節である。日本国内に目を向けても、八月一五日=「終戦」とは言い難い。沖縄ではアメリカ軍との戦闘が九月七日まで続き、北海道は八月一五日からソ連軍の千島侵攻に脅かされていた―。その意味づけも日付も多様な東アジア各国の「終戦」を記念日から問い直し、歴史認識をめぐる対話への糸口を探る意欲作。

目次

1 日本の「八月一五日」神話(「八月一五日」の神話化を超えて;戦争と日本宗教の軋轢の彼方へ;「八・一五」でも終わらなかった北海道の戦争;沖縄における「終戦」のゆらぎ)
2 南北朝鮮の光復と解放(朝鮮における「解放」ニュースの伝播と記憶;ソ連占領期北朝鮮における解放イベント)
3 台湾・中国の抗日戦争記念日(台湾の光復と中華民国;中国の抗戦勝利記念日のポリティクス;戦後中国の「戦勝」報道)

著者等紹介

佐藤卓己[サトウタクミ]
1960年広島県生まれ。89年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。京都大学博士(文学)。国際日本文化研究センター助教授等を経て、京都大学大学院教育学研究科准教授

孫安石[ソンアンソク]
1965年韓国・ソウル生まれ。97年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。北海道大学法学部専任講師を経て、神奈川大学外国語学部准教授。専攻は中国近現代史、上海史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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佐藤氏は「戦没者を追悼し平和を祈念する日」を、「戦没者を追悼する日(8/15)」と、「平和を祈念する日(9/2)」に分離することを提唱している。その理由は 「そもそも、普通の人間にとって宗教的(感情的)追悼と政治的(理性的)議論を同時に行うことは可能だろうか。私たちは心を込めて追悼しながら、同時に理性的な議論ができるほど器用ではないのである」(38頁) 8/15、9/2という提案は、日付そのものというよりも、終戦体験の複数性を強調することで、その複雑性・多様性を意識させるという意味で重要なのである。2017/08/09

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