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ちくま新書
日本の個人主義

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  • サイズ 新書判/ページ数 199p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480063069
  • NDC分類 151.4
  • Cコード C0212

出版社内容情報

日本人は自律していないという評価は本当か。そもそも自律した個人とは近代の幻想にすぎないのか。戦後啓蒙の苦闘を糸口に個人主義のアクチュアルな意義を問う。

内容説明

今日、自らの責任において従うべきルールを選びとり、行動するよう促す圧力は増すばかりだ。だが、そもそも「自律」を他人に強制するなんて可能だろうか。また、日本人が個人として自律していないとする評価は正当なのか。「個人主義」は近代の幻想にすぎないのか。本書では、「個人の自律」を切実な課題とした大塚久雄ら戦後啓蒙の知的遺産を手がかりに、こうしたアクチュアルな難問を考え抜く。社会経済史、ポスト近代思想、認知科学などの成果を縦横に使いこなす刺激的論考。

目次

第1章 自律の時代(アクチュアルな問題としての「自律」;構造改革政策 ほか)
第2章 自律するということ(自律とはなにか;自律は可能か;自律を語ることに意義はあるか)
第3章 自律のメカニズム(啓蒙はいかに成るか;啓蒙は必要か;啓蒙を語ることに意義はあるか)
第4章 自律の先にあるもの(社会的関心はいかに生まれるか;自律は社会的関心をもたらすか;社会的関心を語ることに意義はあるか)

著者等紹介

小田中直樹[オダナカナオキ]
1963年生まれ。東京大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科単位取得退学。博士(経済学、東京大学)。東北大学大学院経済学研究科教授。専攻はフランス社会経済史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

羊山羊

6
ガッチリとコロナ禍のニーズにマッチしている1冊だ。大塚久雄を主題に、国家と個人と、自律の問題をとらえてゆく。コロナ禍という、個人と全体という対立軸が明確な時代において戦後日本の辿ってきた変遷を適度なバランスと薄さで捉えなおす本著はまさしく新書である。日本場合は、国家原理はまだまだ案外総動員体制論が現役である。しかし、そこにネットによる分断や地方共同体の弱体化によって個人化が進んだ今に、大衆の要請ベースしか取り組んでこなかった総動員体制論の弱さこそ本時代の急所となりえる。2021/07/03

とみぃ

3
この本の刊行は2006年6月、「構造改革」が政策のキーワードとなっていた頃のこと。その政策が前提としている考え方を、〈自律による経済成長〉型個人主義と小田中さんは呼ぶ。一方で、この頃は、ポスト近代の考え方が思想界で主張されていた頃でもあった。そこでは、自律した個人は存在しないと考えられていた。小田中さんは、自律という考え方を、懐疑精神とコミュニケーション能力を含みこんだものと再定義することで、この両者の考え方から距離をとろうとする。その上で〈自律による社会的関心&経済成長〉型個人主義の有効性を提唱する。2018/02/22

shi-ma

3
一通り読みましたが、「専門外なので確かな事はいえないが」的な話が多かったので、どことなくすっきりしないなと感じる事はありました。ただ、稲作のように土地生産性は高いが労働生産性の低い農業は個人主義や自律を育むのに障害となったという事を知れたのは良かったです。2016/02/27

Tasuku Seo

1
個人の自律はありうるのか(脳科学とか無意識とか、宗教とか)、何のために自立したを目指すのか(経済か?)、素朴な疑問に著者個人が一般向けに向き合ってみた、という感じがした。真面目だけど、どこかそんなことを考えることをあざ笑うような、引いた感じが心地いい。 コロナ騒ぎで、コロナ罹患者や医療従事者への人権侵害問題が言われている。個人個人のコロナへの向き合い方こそ、近代的な自律した市民としての「民度」が試されていると思っている。この本の文脈どう交差するのかわからないが、そんなことを思った。2020/08/24

saiikitogohu

1
何が正しいことか、価値や倫理が自明でなくなった時代において、「個人の自律」、すなわち「自ら立てた規範に従い、自らの力で行動すること」は個人が獲得すべき重要な力として言われるようになる。ただ問題は、どのような「自律」か、ということ… 「自律なんてのは虚構」とニヒルに否定するでもなく、「自律とは、自分ひとりで決められるようになること」と孤独な個人を前提にするでもなく、他者を介した(あるいは介さざるを得ない)「自律」観を模索していて好感が持てた。2017/10/10

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