ちくま新書
“狐”が選んだ入門書

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  • サイズ 新書判/ページ数 231p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480063045
  • NDC分類 019
  • Cコード C0290

出版社内容情報

入門書こそ究極の読みものである。高名な書評子<狐>が、言葉、古典文芸、歴史、思想史、美術の各分野から5点を選び、深くて意外性に満ちた世界を解き明かす。

内容説明

目的をもった読書にとって、よい入門書を選ぶという作業は欠かせない。それはわかりやすい見取り図を示し、適切なチェックポイントを教えてくれるからである。ところが、世間には入門書が溢れかえっており、その時の自分の関心やレベルにあったものを選ぶのは実はとても難しい。その結果、迷路に入り込んでしまって、膨大な無駄を重ねることになりやすい。では、どうすればよい入門書を選ぶことができるのだろうか。そもそも、よい入門書とは何か。広くて深い入門書の世界を解き明かす異色の読書論。

目次

第1章 言葉の居ずまい(国語辞典に「黄金」を掘りあてる―武藤康史『国語辞典の名語釈』;敬語は日本語の肝どころ―菊地康人『敬語』 ほか)
第2章 古典文芸の道しるべ(社会人に語りかける古典入門―藤井貞和『古典の読み方』;古歌を読む分析的知性の強力さ―萩原朔太郎選評『恋愛名歌集』 ほか)
第3章 歴史への着地(歴史への抑えに抑えた怒り―エルンスト・H・ゴンブリッチ『若い読者のための世界史』;歴史的想像力の剣さばき―岡田英弘『世界史の誕生 モンゴルの発展と伝統』 ほか)
第4章 思想史の組み立て(世相の向こうに「近代」の醜怪をあばく―金子光晴『絶望の精神史』;考えるべきことを考えよという指針―田川建三『キリスト教思想への招待』 ほか)
第5章 美術のインパルス(たっぷりとゆたかな「小著」―武者小路穣『改訂増補 日本美術史』;江戸絵画の見かたをかえる異色の水先案内―辻惟雄『奇想の系譜』 ほか)

著者等紹介

山村修[ヤマムラオサム]
1950年東京生まれ。慶応義塾大学文学部フランス文学科卒業。都内私立大学図書館司書を経て、現在は随筆家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちくわん

20
2006年7月の本。大学図書館の司書であった作者は1981年2月~2003年7月まで22年間にわたり<狐>のペンネームで「日刊ゲンダイ」に毎週書評を書いていた。本書で紹介された25冊のうち、かなりの割合で元本を調べたりしたので、読了まで大層時間を要したが、それもまた人生。一番驚いたのは、作者が2006年8月、本書の出版直後に亡くなられたこと。今私は、その年齢。他書もあたりたい。2022/07/09

ホークス

16
入門書は、白紙の人に対してまずその世界の核となる本質を見せつけ、その道の遠さ深さを厳しく知らしめると同時に、その世界独自の蠱惑的な魅力でもって引きずり込もうとする存在であって欲しい。良い入門書は、ノンフィクションがもたらす「感動」の一つの理想的なあり方を教えてくれる。狐こと山村修さんは、自身の感じた発見や驚きの感覚を大変生々しい表現で、率直に書き綴っている。勧めるのは言葉、古典、歴史、思想、美術の25冊。教養不足と興味の狭さのため半分は理解できず。しかし3割は強く引き込まれた。挑戦してみる価値はある。2016/02/13

サアベドラ

15
「狐の書評」で知られる随筆家、山村修による入門書案内。日本語、古典、歴史、思想、美術の5つの分野からそれぞれ5冊、計25冊の本を紹介。選ばれた本はあくまで著者が各分野の入門に適すると考えた本であり、一般に入門書とされないものも多く含まれている(なにせ一冊目は武藤康史『国語辞典の名語釈』である)。チョイスがいちいち渋く、ちょっと今の自分にはしんどい本も結構挙げられていたが、とりあえず金子光晴『絶望の精神史』と田川建三『キリスト教思想への招待』、辻惟雄『奇想の系譜』あたりは読んでみたいと思った。2013/04/15

Facet31

6
非常によかった。筆者は「入門書こそ究極の読み物である」と主張するものの周囲から理解は得られないという。しかし本書を一読すればわかるように、読み物のもつ魔力を惜しみなく引き出しているのが入門書という一大ジャンルなのだ。本を前にしたときのワクワクとした高揚感。あの興奮を抱いたまま最後の一文までを一気に読みおおせたしたら、それは究極の読書体験だと言えないだろうか。「入門書」には特有の口溶けの良さがある。書棚の入口に立ち、触れ合いながら読むことの愉しみを教えてくれる本書は司書のような役目をはたしてくれるのだ。2012/09/27

nishi

4
出てくる本の分野に明るくなく少し難しく感じた。入門書を単なる解説書・参考書として読むのではなく、その著者の心に想いを馳せながら読むというのは、入門書に限らず大事だなと思った。2021/04/06

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