内容説明
阪神淡路大震災、そして新潟中越地震は、私たちに災害への備え、災害後の救助について教訓をのこしたが、実は八〇年前の関東大震災にも、多くの学ぶべき教訓がある。関東大震災では一〇万人を超える人命が失われたが、その多くは焼死者であった。消防は誰が担ったのか。医療関係者の手は十分にとどいたのか。四万人以上が亡くなった、両国の被服廠跡の悲劇はなぜおこったのか。そして、すでにこのとき「ボランティア活動」が、青年団や在郷軍人会によって行われていた。本書は、首相から一般市民まで、大震災に立ち向かった人々の一週間あまりの活動に焦点をあて、忘れられた大災害の全体像に迫る。
目次
第1章 震災当時の防災体制(震災前の災害と対応;地震発生)
第2章 猛火と戦った人々(大震火災と警視庁消防部;応援部隊や地域団体の活動 ほか)
第3章 放置された重傷者―江東地区における罹災者医療(地震発生直後の罹災者医療;本所被服廠跡の悲劇 ほか)
第4章 大正の震災ボランティア(罹災者の行方;流言と自警団 ほか)
著者等紹介
鈴木淳[スズキジュン]
1962年生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程修了。現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部助教授(日本近代史)。著書に『明治の機械工業―その生成と展開』(ミネルヴァ書房、中小企業研究奨励賞・日本産業技術史学会賞)などがある
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