ちくま新書
“恋愛結婚”は何をもたらしたか―性道徳と優生思想の百年間

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  • サイズ 新書判/ページ数 238p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480061874
  • NDC分類 367.4
  • Cコード C0236

内容説明

夫婦別姓論議や少子化、不倫、熟年離婚など「結婚=家族」という主題が、ここ十数年メディアを賑わしてきた。だが、こうした話題の前提として、「一夫一婦制」自体が論議されることがなかったのはなぜか?そもそも明治期に唱導された一夫一婦制は、単なる精神論や道徳談義ではなく、「総体日本人」の、改良という国家戦略と共存していた。本書では、一夫一婦制と恋愛結婚をめぐる言説が、優生学という危険な部分と表裏一体であったことを検証し、恋愛・結婚・家族という制度の「近代性」の複雑さを明らかにする。

目次

序章 “恋愛結婚”の時代
第1章 制度としてのロマンチック・ラブ―日本における“恋愛結婚”への助走
第2章 「一夫一婦制」への遡行―明治期における恋愛・結婚・国家
第3章 一夫一婦制という科学―「男性の体液が女性の体液に混じる」?
第4章 人類のために恋愛を!―家庭・フェミニズム・優生学
第5章 恋愛から戦争へ―戦前期における「優生結婚」の模索
終章 “恋愛結婚”の方へ

著者等紹介

加藤秀一[カトウシュウイチ]
1963年生まれ。一橋大学社会学部を卒業し、東京大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。現在、明治学院大学社会学部教授。専攻は社会学、性現象論
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

K K

5
素晴らしい!良書。ずっと感じていたことを代弁されていて嬉しい。しかし、昔の日本人が信じていたこと、笑止千万。過去に性交した男の精液により女の血液が変わり再婚して作った子は純粋ではない?!自己啓発ではないからこうしろというような道筋はない。ただ、恋愛や結婚の歴史や意味を知り立ち位置を見極め自分で選択するのは大人が皆やらなければならない。それをもってして自立。現代人は流されすぎ。皆ナチスの批判をするが日本も優生学がベースになっているのを知るべき。恥ずかしいながら知らないことがたくさんある。学ばねば。2017/03/25

オランジーナ@

5
福沢諭吉が「良人と共に死ぬ可き所を不思議に生き残りたるもののようにみなす風習」として未亡人という言葉を批判していて当時としてはラディカルなことを言っていて驚いた。優生保護法による精神障碍者などへの強制断種が戦後も行われていたとは…2015/03/12

d0g_ville

5
そもそも一夫一婦制の導入が実現されたのは明治期に入ってからのことであったという事実に驚いた。江戸以前、明治前半では畜妾制は(禍々しい表現だが)一般的に認知された婚姻?形式であったという。それはさておき、本書は恋愛と優生学(及び国家)の密接な結びつきを明らかにしようと試みる。富国強兵の大義名分の下、肉体・精神共に精強な国民を作り上げるために、科学=優生学は、ある種当然のものとして大した反発もなく受容されていた。2014/01/06

KAN

4
タイトルに惹かれ、恋愛結婚というものの歴史的経緯と評価(よくも悪くも)を期待して読み始めた。前者は明治時代から詳細に採り上げられているし、勉強にもなったが、「評価」に関してはどうも論点が著者の個人主義・自由主義視点から見て「恋愛結婚」の背景に「優生学」、「国家管理」(即ち悪)を見いだして一生懸命批判しているように自分には思えた。論理展開も結構無理がありフェミニズム、唯物的なイデオロギーで描かれる世界は自分にはちょっと。2017/07/18

multi_b

4
戦後、日本政府が優生学に基づく政策をしていたことは、僕にとっては意外な事実だった。疑似科学的根拠に基づく優生学的な生命の選択は少なくなったと言えど、DNAや体外受精といった概念・医療技術に基づく生命の選択は今後も続いていく。それを僕が受け入れるかどうかはともかく、その行為は優生学という文脈に基づく行為であることを認識しました。2016/07/09

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