内容説明
長引く不況と不良債権処理の遅れにより銀行経営は悪化し、日本の金融環境は、未曾有の危機的状況が続いている。こうした中で預金全額保護の終了、いわゆるペイオフ解禁は、日本の金融システムにどのような影響を与えるのだろうか。預金者が安全な銀行を選別するようになれば、銀行は信頼を失うまいと従来以上の経営努力を迫られるであろう。はたして銀行は再生できるのか?日本の金融の将来像を見据える一冊。
目次
第1章 ペイオフ解禁とは何か―預金全額保護の特例期間の終了
第2章 セーフティネットとは何か―預金保険制度の金融システムにおける位置づけ
第3章 新しい金融環境とは―預金保険法改正の論点
第4章 間接金融依存型システムからの脱却
第5章 不良債権問題と銀行部門の建て直し
第6章 銀行業の新しい展開
第7章 郵便貯金の将来像
第8章 市場規律の発揮と利用者の自己責任
著者等紹介
翁百合[オキナユリ]
1960年東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。同大学院経営管理研究科修士課程修了。日本銀行勤務を経て、現在日本総合研究所調査部主席研究員。金融審議会、社会保障審議会などで各種委員を務めるかたわら、2001年9月からは慶応義塾大学大学院特別招聘教授を兼任。最近では、金融分野における官民分担のあり方にも関心を持つ
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感想・レビュー
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KAZOO
58
非常にある意味いい本ではあると感じます。金融問題のエッセンスをうまく図表を多用しながら説明してくれています。ただ読書対象にどこら辺の人々を意図しているのかが若干不明な感じがあります。これだけの内容を理解できる人は銀行実務や金融論の初歩などをマスターしている人でないと難しいところもあると感じます。2015/09/25
ハンギ
1
2002年の2月出版。ペイオフ解禁の時期であり自己資本規制はまだ行われていないようだ。いわゆる金融ビックバンのさなかに書かれた、明日の金融とはどうなるかという本。内容は多様な金融商品が発売されることで、銀行は収益を上げるだろうという未来を予想。確かにそうなりつつあるかも。アメリカの行政はどうやって金融政策を行っているかについて軽く説明しており、銀行破綻に関してはP&Aという手法を特に説明している。こういうのはリーマンショックなどでどう運営されたのか気になるところです。2013/11/18