内容説明
民主主義、民主的な政治とは何か。現代社会の基本的な価値理念であるデモクラシーが重要であることは間違いない。しかし、それを共有している社会において、いろいろな意見の対立や争点が生まれてくるのはなぜなのか。物事を「民主的」に決めるとは、どういうことか。古くて新しいこの難問について、対話形式を用いて考える試み。
目次
第1章 制度とデモクラシー
第2章 安定性とデモクラシー
第3章 国民とデモクラシー
第4章 公共性とデモクラシー
第5章 代表とデモクラシー
第6章 討論とデモクラシー
第7章 憲法とデモクラシー
第8章 重層性とデモクラシー
著者等紹介
杉田敦[スギタアツシ]
1959年群馬県生まれ。東京大学法学部卒業。現在、法政大学法学部教授。専門は政治理論、政治思想史
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感想・レビュー
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メガネ
23
対話式。それぞれの主張の背景をよく理解してないと、分かりやすい言葉で書かれている分、読み落としてしまう。憲法についても触れてます。2014/05/26
Kei
14
AとBの議論からデモクラシーの基本的な事を紹介している。超入門的な本。とても分かりやすいので、デモクラシーの整理に向いていると思う。この本に出てくる論は大体既に勉強しているか、知っているが、ロックやハーバーマスの本を読んだ事がないので、勉強不足を感じた。また勉強していこうと思う。2016/07/06
白義
11
デモクラシー入門とデモクラシーの脱構築を一冊で学べて便利。代表や主権、国民といった概念が孕むデモクラシーの矛盾やそもそも論に避けずに触れ、結論をあくまで出さず、徹底的に脱中心化していることに強みがある。杉田氏本人はAの立場に自己投影しているのだと思うが、ベーシックな近代民主主義解釈をしているBの意見ももちろんバカにされるほどのものでもない。他の入門書を読んでから読むのもいいと思う。民主主義、デモクラシー関連の新書では定番中の定番な一冊2012/06/28
hk
7
「民主政は人類普遍の価値観であり、恒久平和のため、くまなく民主政が世界に行きわたるべきである」と信じて疑わないナイーブなA君とB君による禅問答集。Aは民主主義が不足しているのが諸悪の根源というスタンス、Bは民主主義が行き過ぎて暴走するのを懸念する立ち位置。こうして蝸牛角上の争いといった体で議論は進行していく。Aは英米だけしか採用していない珍奇な制度であるのになぜか日本ではグローバルスタンダード扱いである二大政党制に噛み付く。A曰く「二大政党制ではマイノリティーの意見が掬い上げられない。ヨーロッパで主流の多2016/08/29
樋口佳之
6
議会に集約される以外に、人々の多様な議論や活動が行われている時にだけ、デモクラシーというものは生きていることができる。/ほとんど専門用語らしいものもない二人の対話で読みやすい本でした。/政治学を勉強されている方には全く別な読まれ方をする本なのでしょう。2016/04/11