ちくま文庫
田中小実昌エッセイ・コレクション〈6〉自伝

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  • サイズ 文庫判/ページ数 343p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480038807
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

エッセイ・コレクションのしめくくりは「自伝」。呉で過ごした少年時代に始まり、戦争での苛酷な体験、終戦後のストリップ劇場での裏方仕事、それからテキヤの子分になって全国を回り、もぐりこんだ横田基地で米兵たちとおしゃべりしながら翻訳に手を染め、そして…。さまざまなキャリアを経ても、ちっとも変わらないコミさんの視線の妙。

目次

「なまけ者」の価値ある生涯
大正14年…
昭和12年…
昭和17年…
昭和19年…
こわかった看護婦
地獄船の隔離病室
コレラ患者も楽し
炊事係りに魅力
なにかが狂ってた?〔ほか〕

著者等紹介

田中小実昌[タナカコミマサ]
1925年東京生まれ。東京大学文学部哲学科中退。バーテン、香具師などを転々とする。H・チェイス、R・チャンドラー、C・ブラウンの名訳で知られる。「浪曲師朝日丸の話」「ミミのこと」で第80回直木賞、『ポロポロ』で第15回谷崎潤一郎賞を受賞。2000年2月アメリカで客死

大庭萱朗[オオバカヤアキ]
1962年北海道生まれ。出版社勤務を経て、文芸評論家・フリー編集者として活躍中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

21
頭脳明晰なコミさん。だが決して世渡り上手というわけでもなく、戦争に巻き込まれたりテキ屋や易者になってみたり、あるいは翻訳や通訳をしたりと翻弄されまくりの人生を送る。なんというか、小説家として名を成したこともコミさんにとっては「余技」ではないかと(つまり、食っていくための手段でありそれ以上の理想はないと)思わせる凄みはある。女性が出てくれば妙にエッチに執着するあたり相変わらず。飲兵衛で映画好きでぐうたらで、でも真面目で筋は通す。己に忠実に生きたコミさんの人生は他ではちょっと見られないユニークなもので楽しそう2020/07/07

勝浩1958

6
いまの世の中ではおそらくコミさんのような人は、現れないだろうし許してくれそうもないでしょうね。人生に目標をもって真面目に生きることや物事のすべてをすぐに善悪の判断を下すことを要求され、世の中自体が懐の深さを失くしてしまっているような気がします。コミさんの生き方はそのようなことに無頓着か、あるいは超然と立ち向かっているように感じます。そのような人も生きていける世の中であってほしいものです。2015/04/29

yoyogi kazuo

2
田中小実昌の自伝を読んでいると、平和ボケした自分には想像もつかない体験が次々にあの調子で描かれているのだが、十代から二十代にかけて戦場を体験した人たちも凄いが、就職氷河期以降の若い世代の社会からの追い詰められ方にもまた違ったキツさと切実さがあるのではないかなどと思う。そういうものを読みたいと思った。出でよ、平成・令和のコミマサ。2022/05/11

モーリス

0
ふつう

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