内容説明
妄想癖の強かった少年時代に読んだ「サイボーグ009」。性に目覚める頃、強い印象を受けた「サスケ」の中の入浴シーン。「フーテン」に憧れた高校時代。漫研で活躍し、恋とジャズ修業に励む、大学生に影響を与えた真崎守、宮谷一彦、川本コオ、エモリ・I、佐々木マキ、山上たつひこ…恥多き青春の思い出を語りつつ、戦後マンガの歴史を新たな角度から描く。
目次
妄想少年の片想い・石ノ森章太郎『サイボーグ009』
不良気分の貸本屋劇画・さいとうたかを『台風五郎』ほか
憧れの湯気ごしヌード・白土三平『サスケ』
中学の頃からスパイ映画に夢中・園田光慶『殺し屋ナポレオンアイアン・マッスル』
スーパーオナニー必殺技・池上遼一『スパイダーマン』
中学時代の「幸福論」・水木しげる『神変方丈記』ほか
青臭き隠遁への誘惑・つげ義春『沼』『山椒魚』ほか
高校でフーテンに憧れる・永島慎二『漫画家残酷物語』『フーテン』
ジャズとアイビーと文学と・宮谷一彦(1)『セブンティーン』
恋と憧れと自己愛と・岡田史子『胸をだき首をかしげるヘルマプロディトス』ほか〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山口透析鉄
16
市の図書館本で読みました。一緒に借りた本、よく見たらこの文庫本の前に出た単行本でしたね。 夏目房之介氏が大学生のころまでに読んだ作品が自分史と共に語られていて、BSマンガ夜話での口調とは異なり、ある意味もっと生々しく、ちょっと恥ずかしい部分も書かれていて、自伝的エッセイに近いですね。 知らない作者と作品も相変わらず多く、そういうのは純粋に勉強になりますが、谷岡ヤスジ氏の作品とか、もう入手しづらいのが残念ですね。BSマンガ夜話では新刊が容易に入手できる作者の作品を取り上げていましたが。(続きは単行本に)2023/01/31
ウチ●
2
「マンガ評論」である。論ずるべき対象としてのマンガはありや・・・?最近のマンガ事情には明るくないが、本書でも繰り返し名前の上がる雑誌が「ガロ」(青林堂)、「COM」(虫プロ商事)。60年代から70年代にかけては評論の対象になりうるような作品がこれらの雑誌をはじめ、あちこちに発表されていた時期であったことを再認識。終章辺りで「マカロニほうれん荘」を取り上げているが、この時期、この作品のが団塊世代にとってこのような意味合いを持った作品であったことには吃驚。小学生だった私は只々笑い転げているばかりだった。2013/10/10
冬至楼均
1
漫画論なんだけど、作者の恥ずかしい思春期の告白本として読んだ。2015/08/05
いちはじめ
1
1960〜70年ごろのマンガを「思春期」というキーワードでつづった評論/エッセイ集。やはりこの人のマンガを論ずる切り口には感心2000/09/08
Tooru Araki
0
その頃発表されたマンガ作品から浮き彫りになる60〜70年代。ナンセンスに溢れていて、とんでもない時代だったんだなぁと実感。2016/02/11