内容説明
ロシア文学の伝統的な主題や事件を扱った「決闘」、発表当時絶賛された、精神病院が舞台の「六号室」他十二篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ribes triste
9
悲惨で絶望的な追い詰められた状況になっても、その緊張感を緩和させるようないい加減さ、スポンと飛び抜けた達観、そして滑稽さがある。格好悪さもジタバタするのも、それもまた人間らしい。チェーホフは、やっぱり面白いなあと思う。2018/12/04
ガリポリ
2
おそらくチェーホフの最高傑作である六号室が収録されている。 内面の平穏さえあれば外の世界がどうであろうと関係ないという賢者気取りも、人間は皆死ぬし世界も数億年後には滅んでいるのだから何をしようと無意味だというニヒリスト気取りも、指をドアに挟めば叫び出すのだ。2015/06/29
保山ひャン
0
決闘、妻、モスクワで、気まぐれ女、芝居がはねて、断章、ある商店の歴史、老教師の手帳から、流刑地で、魚の恋、隣人たち、六号室、恐れ、無名氏の話。慈善事業に手をそめる妻に介入する夫(「妻」)や、癲狂院に入れられる男(「六号室」)、従僕としてもぐりこんでスパイする男(「無名氏の話」)などの深い物語から、思想の重要性をひろめるためにひらいた本屋が、客のニーズにあわせて何でも屋になっていく笑い話(「ある商店の歴史」)まで、いろんなチェーホフが読めた。面白い!2015/08/16