出版社内容情報
生前刊行の第一創作集に準拠しつつ、「古譚」「斗南先生」「虎狩」「光と風と夢」の他、一高時代の習作六篇、歌稿漢詩等を収める。
一条の光芒…。「光と風と夢」「古譚」「斗南先生」「虎狩」他、習作・歌稿・漢詩・訳詩を収載。
目次
古譚/斗南先生/虎狩/光と風と夢/習作(下田の女/ある生活/喧嘩/蕨・竹・老人/巡査の居る風景/D市七月叙景1)/歌稿 その他(和歌でない歌/河馬/霧・ワルツ・ぎんがみ/朱塔/小笠原紀行 ほか)
著作者について
中島 敦
ナカジマ アツシ
1909-1942。東京四谷の漢学者の家系に生まれる。一高・東大国文科を経て横浜高女の教師となる。誠実な教師生活のかたわら創作につとめ、「狼疾記」「かめれおん日記」などを発表。昭和十六年、教師を辞職、南洋庁書記官としてパラオ島に赴任したが持病の喘息をこじらせて帰国。この間、「光と風と夢」が芥川賞の候補にのぼったが入賞せず、ほとんど無名のうちに死去。死後、評価が始まった。
内容説明
一条の光芒…。「光と風と夢」「古譚」「斗南先生」「虎狩」他、習作・歌稿・漢詩・訳詩を収載。
目次
古譚
斗南先生
虎狩
光と風と夢
習作(下田の女;ある生活;喧嘩;蕨・竹・老人;巡査の居る風景;D市七月叙景1)
歌稿 その他(和歌でない歌;河馬;霧・ワルツ・ぎんがみ;朱塔;小笠原紀行 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
73
短編が面白かったです。『山月記』は高校の教科書にあったので、何度も読んでいましたが、改めて読むと凄い作品なのだと思わされました。収録されていた漢詩が全く読めなかったのが残念です。2020/04/10
優希
41
短編が面白かったです。何度も読んでいる『山月記』はやはり力がありますね。漢詩が全く読めなかったのが残念です。2022/10/01
姉勤
34
正直、けっして読んでいて楽しいことはない。物語舞台である、古代にいなくても、南洋にいなくても、外地にいなくても、各作品の登場人物の心象たる比喩や隠喩が、人生の苦みにも似た経験の追確認を、さも自身の記憶を辿る様に、させられてしまう。 それを綴る文章が詩的である事が救い。 早逝は惜しい。が、それをまねいた病いとの付き合いがなければ、これらの作品は世に生まれ、生き続けたかどうか。2013/03/31
SIGERU
28
中島敦完読チャレンジを、ちくま文庫版全集全3巻により開始した。33歳で夭折した彼は発表作品が少ないため、メインとなる小説は、発表順にかかわらず各巻に分冊され、収録されている。そのほか、第1巻は初期習作と短歌を、第2巻は日記と書簡を、第3巻は雑纂を、それぞれ収録。まず隗より始めよ、ということで、第1巻を読んだ。劈頭の『山月記』『文字禍』は、広く人口に膾炙した中島敦を代表する名篇。倨傲な自尊心ゆえに人の姿を失い、虎になった李徴の物語『山月記』には、作者自身の世に容れられない苦悩が滲んでおり、読み手の心を搏つ。2021/06/14
猫丸
27
中島敦、モダンである。1909-1942に生きた作家。文士が国士を兼ねる風潮は終わりを告げ、大正の唯美的風俗を経て暗愚跋扈の開戦に至る時代。有り余る才能と教養を持ちながら、それを活かす場も与えられず、かと言って中島の先端的感覚は当時の文壇のよく受容するものでもなかったのだろう。行き場を失った表現の才がアヴァンギャルド短歌に暴発する様は悲愴ですらある。漢文学への造詣の深さを感じさせる作で名高い中島だが、この人の振幅の大きさは漢文だけに収まらないことを再認識。p.376「遍歴」が人物を彷彿させる。2019/04/11