ちくま文庫<br> 影の谷物語

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ちくま文庫
影の谷物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 368p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784480025586
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

スペインの黄金時代。若き騎士ドン・ロドリゲスは、亡き父の遺言に従い、戦いを求めて冒険の旅にたつ。ただ一振の剣を持ち、マンドリンを背負って。時は春、彼に従うのはこの上なく忠義で愉快な下僕モラーノ。怪しい宿、奇妙な山、果てしない野…。やがて彼らの旅は“影の谷”へと導かれてゆく…。壮大で華麗な世界を描いた幻想作家ダンセイニ卿の最初の長編小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふみふみ

9
ダンセイニ卿の騎士道冒険物語でファンタジー度は低め。物語は後半スローダウンするし、主人公の若き騎士ロドリゲスも後半なさけなくなるし(一方、下僕のモラーノはキャラ立ちしてフライパン、ベーコンとセットで印象的)、そもそもなんで影の谷の王が捕まってたりするのとか、内容的にはイマイチ感が強いのですが、それを上回る文章の趣があリますね。ダンセイニ卿の美しく流麗でリズムのあるスタイルは散文詩を読んでるような気にさせてくれます。これは原葵氏の翻訳が素晴らしいと言うことでもあります。 2023/08/27

白義

9
ダンセイニ卿初の長編である本書は、遠く過ぎ去ったスペイン黄金時代、騎士たちの美学が花のごとく咲いていた時代への郷愁の色が強い。ロドリゲスは騎士の誉れたる戦いを求めて旅に出、数々の不思議に遭遇する。それにお供するモラーノの笑みを催す愛すべきおとぼけ加減は著者の突っ込みによるアイロニーで最大限に魅力が高められ、それ自体批評的。現実要素を取り入れた頃の作品なのでダンセイニの作品では幻想風味は比較的薄いが、豪奢で美麗な描写がそれ自体風景にオーラを付与し、芸術のごとき作品にしている2013/01/22

wm_09

1
登場人物の造形といい、プロットといいドン・キホーテのパスティーシュなのは明らかだが、さすがはそこはダンセイニ、独特の幻想的な描写のおかげで面白く読みとおせた。途中に出てくる筆者の一人ツッコミも爆笑。(コーラ)2009/12/06

リュミエール

0
★★★★☆ スペイン黄金時代を舞台に、父の遺言に従い戦を求め旅立ったロドリゲスが途中出会った粗野だが忠義で気のいいモラーノを旅の共に、戦さの末自分の城を手にするという新たな希望を胸に進み、最後はめでたくハッピーエンドというわりかしシンプルで読みやすい内容。だがそうした筋よりも作者が紡ぎ出す詩的で流麗な言葉の数々にとても引き込まれた。光や闇、自然といったものを言葉巧みに描写し、とにかくやられた。またこれを自然な美しい日本語に訳された訳者の力量にも敬服。機会があれば他の作品も手にしてみたい。 2017/09/30

HANNA

0
花咲くスペインの春を見に行きたくなる冒頭部。中盤のSF的挿話をクリアしたころから、最初なじみにくかった主人公をだんだん好きになってきました。

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