出版社内容情報
悟りと解脱を目ざすはずの仏教が、なぜ葬祭を行なっているのだろうか。仏教が辿ってきた歴史を、土着信仰との結びつきなど、民俗学的見地を交えて俯瞰する。
内容説明
出家者の悟りのための宗教として機能していた仏教が在家者の葬式のための宗教としても機能するようになったのはなぜか。布施、葬式、戒名、慰霊、追善、起塔それぞれの始まりを求め、アジア各地の仏教を探っていく。悟りを開いた出家者の霊力に対し、在家者が抱懐する聖者崇拝。布施をくれる在家者の要望に応え、出家者が受容する土着習俗。仏教学、民族学、文化人類学の成果をもとに、アジア各地に共通の背景を解明し、弔いが仏教となっていく過程を俯瞰する。
目次
序章 それぞれの仏教
第1章 布施の始まり
第2章 葬式の始まり
第3章 戒名の始まり
第4章 慰霊の始まり
第5章 追善の始まり
第6章 起塔の始まり
終章 葬式仏教の将来
付録 『浄飯王般涅槃経』の真偽をめぐって
著者等紹介
大竹晋[オオタケススム]
1974年岐阜県生まれ。筑波大学卒業、筑波大学大学院哲学・思想研究科修了。博士(文学)。京都大学人文科学研究所や花園大学などの非常勤講師を経て、現在、宗教評論家、仏典翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中峰和
4
仏教は本来、出家者の悟りのための宗教として機能していたが、いつからか在家者の葬式のための宗教としても機能するようになった。布施、葬式、戒名、慰霊、追善、起塔それぞれがいつからはじまったのか。アジア各地の仏教の特徴を要約するとともに探る。在家者は悟りを開いた出家者の霊力に対して、聖者として崇拝抱懐する。布施をくれる在家者の要望に応えるため、出家者は土着習俗を受容する。仏教学、民族学、文化人類学の成果をもとに、アジア各地に共通の背景を解明し、弔いが仏教となっていく過程が俯瞰される。2023/06/21