筑摩選書
日本の思想とは何か―現存の倫理学

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  • サイズ B6判/ページ数 297p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784480016089
  • NDC分類 150.21
  • Cコード C0312

出版社内容情報

日本に伝承されてきた言葉に根差した理知により、今・ここに現存している己れのよりよい究極の生のための地平を拓く。該博な知に裏打ちされた、著者渾身の論考。

内容説明

日本の思想は、ときどきに流行する意匠が構造化されないままに同居していて、一神教に見られるような座標軸がないとされる。しかし日本の思想が私たちの魂を形成していることはいうまでもない。神の祀り、和歌のあはれ、仏法の絶対知、儒学の天などの古層を掘り下げ、今・ここをよりよく生きようと葛藤してきた私たちのありようを解明し対象化して、新しい日本の倫理学の構築を試みる。

目次

第1部 現存の根本構造(無窮無辺の時・空へ;外なる他である“もの”;自である内なる“たま”;「生」の世界;「生」の意味)
第2部 伝承としての倫理思想(“もの”神の祀り;花鳥風月・原郷世界;仏の絶対知;武士;「天」;文明)

著者等紹介

佐藤正英[サトウマサヒデ]
1936年、長野県生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業。東京大学文学部教授、共立女子大学文芸学部教授、日本倫理学会会長を経て、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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tamami

55
以前紹介した佐藤正英先生の『故郷の風景』(ちくまプリマーブックス)の理論的裏付けともいうべき書。日本の思想は、わたしたちの「生」が根ざしている「神」(〈もの〉神・〈たま〉神)や仏や「(儒学の説く)天」をめぐる葛藤に根ざしている。それらは、私たちが伝承している土俗の倫理思想であり、祭祀や儀礼、説話や和歌、教説などに形象化されている。倫理学は、私たち自身の倫理思想の論究でなければならない、とする佐藤先生は、本書において『古事記』『日本書紀』『万葉集』に始まり、種々の説話・伝説、近代の小説、宗教者や武士の働き等2023/11/21

壱萬弐仟縁

19
本居宣長のもののあわれで、真心、よくも悪しくも生まれつきたるまま。美味な食物を食べ、暖かな衣服を纏い、快適な家居に住み、末長く生きることを欲するのは、生まれながらの真心(166頁)。『玉勝間』。憲法十七条は、第5条で貧しい民の訴えにも耳を傾けよとしている(201頁)。政治家が偉そうな街頭演説するなら、これを言うべきだろう。『葉隠』聞書1・2は、田代陣基による山本常朝の談話筆録で、木曾義仲は、赤地の錦の直垂に、薄金とて唐綾縅(をどし)の鎧を着用して最後の戦いに臨んだ。2014/11/23

isao_key

9
まえがきで著者は「本書は、日本の思想に身を置き、日本の思想を基軸にして倫理学を構築することによって日本の思想を内から捉えることを目指している」という。古事記、日本書紀、万葉集、古今集から仏法伝来、鎌倉仏教、軍記物語、儒学、国学、近松の心中物語、良寛、福沢、漱石、西田幾多郎、和辻哲郎等々、日本に現れてきた思想を浮き出そうと試みる。残念ながら、紹介されている事例の多さに相俟って、かえって焦点が定まらず、掘り下げが浅く、各々の紹介に留まってしまっている。よい論点も散見し、素行の記述については、なるほどと思った。2015/10/08

やま

3
年末年始はテキスト作成!2015/01/05

在我壷中

0
小林秀雄はゴッポヘ何を?ゴッホは日本の何を?『烏の群れ飛ぶ麦畑』小林秀雄にはモノクロで観て感じたのでした。その後その麦畑を尋ねたと。真っ白な雪景色の中へ其の麦畑を観たのでした。夫れでもゴッホが感じた日本を、そして、小林秀雄をもモノクロ、雪景色の中へゴッホと通ずる何かをゴッホが観た感じた何か?を観たのでしょう。アインシュタインには『科学と融合できる唯一の宗教は仏教』と、中国仏教にはなく、インド仏教にはなく、その仏教とは『日本仏教』なのだと私には。『神道』へ育まれての後の仏教『日本仏教』なのかと。2015/04/06

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