内容説明
経済学の専門家でない人の経済本がよく読まれることがある。多様な議論があるのはよいが、それがトンデモなく間違っている場合は問題である。インチキな経済解釈がまかり通れば、間違った経済政策が採用され、人々を不幸にしてしまう危険性があるからだ。本書では、経済学が演繹法を用いて思考し、それが生活のさまざまな場面で活用できることを、実例を挙げて解説する。
目次
第1章 シロウト経済学は花盛り
第2章 間違いだらけのシロウト経済学
第3章 経済学は演繹で考える
第4章 経済の基本原理
第5章 なぜ市場原理を重視するか
第6章 温かい心と冷静な頭脳で
第7章 経済モデルを検証する
著者等紹介
岩田規久男[イワタキクオ]
1942年生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院修了。現在、学習院大学経済学部教授。深く確かな理論に裏づけられた、幅ひろく鋭い現状分析と政策提言はつねに各界の注目を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bluemint
9
これは素晴らしい本だ。テレビに出てくるコメンテーターやキャスターがいかにデタラメなことを言っていることか。我慢ができなくなった著者が、辛坊治郎氏の著書の批判をするついでに、経済学的問題解決の考え方と経済学の基本を丁寧にわかりやすく解説してくれる。著者は前の日銀副総裁。経済は実生活に密接に関連しているため、シロウトでも語りやすいが、短絡的な結論に陥りやすい。国債発行残高が多く日本は破産する、ハイパーインフレになる、などやたらセンセーショナルに不安を煽ってくる。惑わされないために皆でこの本を読もう。2019/10/16
しろくまZ
9
序盤で「シロウト経済学」を批判するのは良いとしても、著者の記述では「帰納法」自体が悪いとの印象を読者に与えかねない。「シロウト経済学」が稚拙なのは帰納法的(もどき)思考によって得られた単なる仮説を、その真偽の検証あるいは前提条件や適用範囲の吟味など行うべき検証をしないで、いきなり一般化しているところにある。帰納法自体は自然科学や数学において用いられている非常に強力なツールであることをお忘れなきように。第4章以降は概ね楽しく読めた。2014/04/29
jj
7
11年刊。前日銀副総裁岩田規久男氏、学習院大時代の著作。素人経済学を対比し、経済学の基本的考えを分かり易く解説。素人経済学は数多い経済現象から単純に結論を導き出す傾向にある事を指摘。経済学的発想は、風が吹けば桶屋が儲かる的発想が基本中の基本という。最後に、女性の非婚化や男性の自殺率等を扱った経済モデルの検証は参考となる内容。2020/04/27
ぽん教授(非実在系)
5
辛抱治郎をシロウト経済学の典型例としてこれでもかと取り上げサンドバックとするので半分かわいそうになってくるが、著者の主張する演繹的思考=経済学的思考、リテラシーが世の中に広まらない要因であると見なしているから筆が厳しくなるのだろうか。 現在日銀の副総裁としてインタゲを実行する立場でおられるので、著者の持つ経済学モデルがどこまで正しいか見極めようと思う(現在のところまずまずの成功であるように見えるが、果たして)。2013/06/26
渓流
5
頭が良い。思考を語るだけ合って、文章が論理的で、すとんと頭に入る。リフレ派の論客として知られる著者の学説の正否はシロウトには判断できないが、経済学的思考の方法論とはいかなるものか、それをシロウト本の記述を引き合いに出し、論理的欠陥を具体例を示しながら平易に語ってなかなか。経済に関するもやもやが少し晴れ渡った感。2013/06/26