筑摩叢書<br> エリザベス朝の世界像

筑摩叢書
エリザベス朝の世界像

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  • サイズ B6判/ページ数 246,/高さ 19X14cm
  • 商品コード 9784480013675
  • NDC分類 930.25
  • Cコード C0398

内容説明

従来ルネサンスは、個性を解放し近代の進歩を用意する曙の時代とされてきた。しかし実際は、燃え尽きんとする蝋燭がひときわ明るくなるような、巨大な中世の夕映えの時代だったのだ。シェイクスピアやミルトンの率直で剛健、豊饒な作品を支えているのは、中世の世界観なのだ。すなわち彼らはこう考えていた。石ころから天使に至るすべての存在は、不可視の鎖によって秩序正しくつながっており、人間は惑星の運行に対応して行動しなければならず、その惑星や恒星は天球の音楽に合せて舞踏している、と。偉大な作品の母胎が伝統と時代精神であったことを、鮮やかに実証する。ルネサンス観を転倒させた名著の決定訳。

目次

秩序

存在の鎖
鎖の環
対応する諸平面
対応
宇宙の舞踏

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

108
エリザベス朝を含むチューダー朝では当然のように認識されてきた階位制。詳しく読み解くと奥がどこまでも深そうだ。アリストテレスやプラトンまでも引き合いに出される。シェイクスピアを読むのにわかりやすいだろうなと思うのは、それぞれの分野での階位。髪を幾つにも束ね、その束ごとに階位があると考えると、動物界ではライオンが、鳥では鷹が、4元素では火が上に来る。だから王を例える時に、火や鷹、ライオンがくる。それぞれの階位は鎖で繋がっており、人間は学習することで次に上がっていける。神の下に天使、人間、動物とくる。2022/03/08

ケイ

103
チューダー朝のイギリスは、国王ヘンリー八世が再婚する際にローマンカトリックと決別した。スペイン王の娘だった最初の妻キャサリンの娘のメアリーが女王になった際に宗教改革者が断罪され、その後に2番目の妻の娘エリザベスが女王になった時に、英国国教会として落ち着いてきた。その頃に、シェイクスピアらの劇作がチューダー朝の歴史や人物像の形成に手を貸した。思えばそのシェイクスピア史劇をを元に数年前のBBCドラマ「嘆きの王冠」も制作されたのだから、現代までの影響力や恐るべし。2021/11/28

viola

3
これまたかなり有名なティリヤード。ウィリアム・シェイクスピアのウィキペディアにまで載ってるんだ。ティリヤードの翻訳はおそらくこれのみですが、Shakespeare's history playsのほうがずっと有名です。1889年生まれと、思ったよりも昔の人だったんですねー。、「存在の連鎖」というルネサンス期の人々が共有する世界観・ 宇宙観を論じたもの・・・で、内容は高度であまり面白いという内容には感じられませんでした。本文よりも解説のほうに大量に付箋が付きました。ルネサンスについてちゃんと勉強しよう。2011/12/12

Yasunori Ando

1
読書目的=新規購入したシェイクスピア研究書の読了第1弾。 感想=①原著(1943年)への批判に対する訳者陣の擁護。ティリヤードさん、p38で「小著で私がはっきりさせたいと思っているのは、エリザベス朝という時代がその前後の時代と一つのものであって、そこに一貫して存在した規範的標準からの逸脱によって注目されるような時代ではなかったという事実なのである。」と主張。 後世(新歴史主義・文化唯物論学者)から非難されたらしいですが、「シェイクスピアの悲劇」のブラッドレーみたい。 ↓続く2023/03/28

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