内容説明
株主総会を舞台に、人事とスキャンダルで合法的に荒稼ぎをした総会屋。大企業に深く食い込み、裏支配する日本独特の存在である。広島県出身者の武闘派集団「広島グループ」を率いた小川薫。第一勧銀と四大証券から巨額の利益供与を受けた小池隆一。日本最大の「論談同友会」を組織した正木龍樹。大物総会屋がとりしきった闇経済の構図。
目次
第1章 総会屋修業
第2章 「広島グループ」の台頭
第3章 芸能界・ヤクザの裏人脈
第4章 「商法改正」サバイバル
第5章 銀行・証券会社を操る“呪縛”
第6章 総会屋は死なず
著者等紹介
大下英治[オオシタエイジ]
1944年、広島県に生まれる。広島大学文学部を卒業。週刊文春記者をへて、作家として政財官界から芸能、犯罪まで幅広いジャンルで旺盛な創作活動をつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
20
戦後総会屋興亡史。広島から出てきた徒手空拳のゴロツキが、少額の株を手に株主総会に乗り込み、舌一枚で成り上がる。企業の痛いところを衝き、もしくは衝かせない事で金銭を受領し膨れ上がっていく。やがて総会屋は6千人を超え、企業活動を蝕み、その目に剰る総会屋を排除するための商法の改正で、かつてのような騒然とした株主総会は消えたものの、その分企業の道義に悖る誤摩化しが野放しになっていく。攻撃された企業の側も、粉飾、汚職、背任と唾棄すべきもう一方の悪でもある。余談だが、箸休め的なピンクレディーブームの逸話は興味深い。2012/12/17
α0350α
12
総会屋!すごく昭和っぽいワードですよね。聞いたことはあっても実際にどんなことをしているかは知らなかったので勉強になりました。小川薫が良かったです。2017/11/08
KJ
4
総会屋とはプロ株主という職人であり会社の相談役である。総会屋にとって総会は舞台。総会で暴れる事で賛助金が跳ね上がる。ヤクザにも堅気にもなれないが金を求める総会屋。集り的稼業の総会屋は企業にとっては大悪党。反面利益供与を通じて総会屋を育て太らせたのも企業。商法改正により総会屋を排除した事で企業は浄化されたのか。常に総会屋から監視されている意識が企業に緊張感を与えていた。物を言う株主が不在になれば企業の腐敗は進む。悪の総量が一定ならば消えた悪の席に異なる悪が居座るのも必然だ。新たな総会屋勢力になるのは警察か。2022/04/19
岩間 宗達
2
総会屋という存在は絶対的な社会悪というイメージがあったが大きく覆された。その存在が今は警察が担っているという示唆はあまりにも衝撃的である。2018/03/04
より
1
★★★☆2018/04/19