すべての戦争は自衛意識から始まる―「自分の国は血を流してでも守れ」と叫ぶ人に訊きたい

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すべての戦争は自衛意識から始まる―「自分の国は血を流してでも守れ」と叫ぶ人に訊きたい

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  • サイズ B6判/ページ数 284p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784478029251
  • NDC分類 319.8
  • Cコード C0036

出版社内容情報

仮想敵国に対する恐怖と危機意識が高まる中、集団的自衛権の行使容認に代表されるように、戦後日本の理念であった9条による「非戦の平和観」が大きく変わろうとしている。戦火が引き起こす悲劇への想像力を失ったまま「自衛」を叫ぶこの国は、どこへ向かうのか。取り返しのつかない事態を避けるため何ができるのか。

内容説明

「反日」「国賊」「売国奴」…。いつのまに、こんな言葉が跋扈するようになったのか?加害の歴史から目をそむけ、仮想敵国の脅威と自衛を叫ぶこの国は、再び戦争を選ぶのか。この社会を覆う不安の正体に迫る渾身の論考。

目次

第1章 すべての戦争は自衛意識から始まる(南京大虐殺、被害者は三〇万人でも一五万人でも(端的に言えば)どっちでもいい
北朝鮮の戦勝記念館には「自衛」のメッセージが溢れていた ほか)
第2章 「自分の国は血を流してでも守れ」と叫ぶ人に訊きたい(冷戦時代の産物だった抑止力は、こうしてまた息を吹き返した;平和で頭がボケているからこそ、気軽に「血を流す覚悟」などと口にできるのだ ほか)
第3章 戦争の責任はA級戦犯だけにあるのではない(橋下市長の慰安婦問題発言は、女性はもちろん、男性をも蔑むものだ;タイトルを勝手につけるな。批判するなら最後まで読め。絶対にまとめるな ほか)
第4章 それでもこの国は、再び「戦争」を選ぶのか(最大の自衛とは、安全を脅かす存在を洩らすことなく消滅させることである;治安維持法制定時の新聞を見て実感、この国はまた同じ時代をくりかえす ほか)

著者等紹介

森達也[モリタツヤ]
1956年、広島県呉市生まれ。映画監督、作家。明治大学情報コミュニケーション学部特任教授。テレビ・ドキュメンタリー作品を多く制作。2001年、映画「A2」を公開し、山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞する。11年、『A3』(集英社インターナショナル)で講談社ノンフィクション賞を受賞。現在は映像・活字双方から独自の世界を構築している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

37
刺激的な題名だが、森さんの言っていることはきわめて真っ当だ。20世紀に入ってからの世界の戦争は、過剰な自衛意識がもたらしている。そして、戦争の記憶として私たち日本人は被害ばかりが目立ち、加害者としての視点が希薄だ。そこから目を背けていると、どんどん矮小化されてしまう。立体的に戦争を記憶することの必要性を説いている。森さんは私たちの凝り固まった頭をほぐしてくれる天才だと思います。2019/05/24

skunk_c

19
この人の肌感覚というか、感性が好きだ。まず常に自分を主語にして語る。自分にわき起こった感情から逃げない。でも感情論で書いているわけではない。徹底的に考えようとし、読み手にもちゃんと読み、考えろと迫る。「抑止」について書いた部分では、「リスクとコスト」の重要性を説くなど、実はきわめて理性的だ。本書でも左右いろんな人からネットで叩かれた話を書いているけど、意に介さない。胸を張って自虐する。「加害意識は大切だ」と。本書のタイトルが内容のほぼすべてを言い尽くしている。僕はそれに激しく同意する。2015/02/24

魚京童!

17
魔の山が現実になりつつあって怖いのです。2015/11/23

りり

13
彼はいつでも日本や世界で起こった出来事に対して〝慣れないように”しているように思う。色々なことに慣れてしまったら、流されていつの間にか受け入れてしまうのを恐れているのかもしれない。大きな声で主義主張を叫ぶのではなく、受け入られ易い意見を言うわけでもなく何も言えなくなった時は「何も言えない」とそのまま自分の意見を加工せずに述べる。非常にシャイな人ではないか?と思ってみたりする。しかし頑固で面倒くさい人でもないかな?とも想像したりもしてみる。2015/07/11

あきこ

10
森達也、彼の視点は正しい。言われてみれば誰もがそうだとわかることを言っているだけだ。だけど他にそれを言う人はいない。それが今の日本なのだ。こうして当たり前のことを勇気を出して本に書くこと、そして私はそれを読んでなんだか安心する。言う人がいなくなったら、誰もが口を閉ざしたら、それはこの国が終わる時なのだ。大げさに聞こえるかもしれないが、一主婦の私でさえ危機感を感じる今日この頃だ。そしてこの危機感がマヒしないように森さんの本は読んでいこうと思っている。2015/05/08

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