内容説明
これが真実だ!日・独関係者の実名入り、20世紀の医学が経験した二大人体実験の本質に迫る。
目次
第1章 戦争医学犯罪・前史―そこに至るまで
第2章 何が起こったか・何が行われたか(検証)(1932~45)
第3章 ニュルンベルク医師裁判(1946~47)
第4章 ハバロフスク裁判(1949)
第5章 関係者の戦後(1945~)
第6章 新しい医療倫理の枠組みを求めて
著者等紹介
小俣和一郎[オマタワイチロウ]
1950年東京生まれ。1975年岩手医科大学医学部卒業。1980年名古屋市立大学医学部大学院卒業(臨床精神医学専攻、医学博士)。1981~83年ミュンヘン大学精神科に留学。現在、上野メンタル・クリニック(東京都文京区)院長。東京保険医協会理事。ドイツ精神神経学会正会員
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
5
以前から、731部隊に関する本を読みたいと思っていたが、躊躇することが多かった。関連本へのカスタマレビューの多くが誹謗中傷ばかりだからだ。レビューを読むと作者の資料の扱いに関する非難が多い。作者の思い込みが先行して客観的な姿勢が欠け虚構が混じっているとの意見が多く、中には糞本だと決め付けたものもあった。それで、731部隊についてはそれ以上情報を集めるのは諦めていた。が、広瀬隆の本を先日読んで原発との関連して読む必要があることを知った。そこで資料だけを列記した本が無いかと探した結果、漸く本書に行き着いた。2016/07/16
aoi
3
731部隊とナチ医療を比較しながら医学の発展と人体実験、医療倫理のあり方についてまとめられた本、資料も多く文章も丁寧で(強引に自論に持っていく感じもなく)とても面白かった。 医学と人体実験とは不即不離の関係にあるからこそ731部隊やナチ医療の行為をしっかり学び、「負の遺産」を含めた正しい医学史の元に医療倫理を考えていくのは大切だなと思った。 今の先進医療もある種人体実験だと思う。エビデンスに基づいた保守的な治療だけではどうにもならないのも現実やし患者さんが納得して治療を選べる環境作りが必要なんだろうなぁ2020/07/02
ちびたまこたま
0
類書はたくさんあるけれど字も大きくてすごく読みやすかった。人体実験をどう定位するべきなのか!731部隊とナチ人体実験の事実文献に基づいて検証されているがもっともっとくわしく知りたかった。2012/10/15
メロン泥棒
0
類書がたくさんあるから、この本ならではという内容はないよなあ。2010/12/07
札幌近現代史研究所(者。自称)
0
ナチ医学の医療犯罪と同じく犠牲者数ではその倍以上と推定される日本のいわゆる731部隊の犯した同じく医学犯罪を基準に、安楽死、インフォームド・コンセントに基づかない、死と苦痛が殆ど前提とされている残虐な人体実験、断種などをいかなる医療倫理で過去と現在と未来を見据え論考していこうとする好著。私は著者の小俣和一郎氏の著書を既に2冊読んでおりその集大成の観がある。あらゆる倫理も過去の歴史的事象を抜きに定位する事はてきない―ナチ医学と731部隊の医学犯罪の参照点なき倫理はありえないとする著者の主張は私と同じ意見。2019/09/30