内容説明
西欧精神を余すところなく体現した美の使徒ルオーの内面のドラマ。
目次
ルオー(生成と経路;職人徒弟;ギュスターヴ・モロオ;孤独・宗教的;探索・人間の市;内部の秩序;象徴・神)
初秋のパリから―高田博厚氏に
ルオーについて―8月のパリから高田博厚氏へ
森有正兄への手紙
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナディル
2
再読。ルオー一家からの信厚かった高田博厚のルオー論を起点として、森有正との間で交わされた対話的論考が纏められている。ルオーについて語ろうとすれば究極避けて通ることは出来ないであろう「神」について真正面から講究されており、芸術論という枠には収まりきらない広がりと深みをもつ。長くパリに住み、西洋文明の本質の当体そのものを掴み取ろうとする共通の精神態度をもつ二人の対話は、それぞれ独自のものでありながら共振が共振を呼び深みをめざす。読者である私もまた孤独のうちにありながらその共振の渦に巻き込まれてしまったようだ。2023/05/13