内容説明
出社拒否、DV(ドメスティック・バイオレンス)、性的倒錯、摂食障害…かつて自らこうした問題に向き合い、修羅場とも言える状況をくぐり抜けてきたカウンセラーたちを「回復者カウンセラー」と呼ぶ。自ら心の問題を抱え、最良のカウンセラーを探し求めてきたノンフィクションライターが、彼らの経験と実践を通して現代日本社会が抱える日常の病理に鋭く迫り、その処方箋を探る渾身のルポルタージュ。
目次
第1章 気づき始めた父親たち(ある「父親教室」の風景;家族のアンバランスと父親たちのネットワーク;修羅場が始まるまで ほか)
第2章 逃げたいのに逃げられない(日本社会に巣くうDV;シェルター;なぜ逃げられない? ほか)
第3章 「こんなことしてるの私だけでしょうね?」(誰にも言えない;「めちゃくちゃにされたい」;危険だとわかってはいても… ほか)
第4章 食べるのが苦しい(摂食障害とは何か?;花形選手が過食症に取り憑かれるまで;すべてが許せない ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
itica
26
かつて心の問題で悩んで苦しんだ過去を持つカウンセラーを「回復者カウンセラー」と言う。4人の回復者カウンセラーが、どのような状況からどのように立ち直り、なぜカウンセラーになったのかを赤裸々に語っている。家庭内暴力や過食症、うつ病などは今や特別な病ではない。誰にでも起こりうる。本書の中で心に残った言葉は「ありのままの家族を受け入れる」「ありのままの自分でいいんだ」と言う今の流行りにも似たフレーズ。でもこの本が書かれたのは14年前。この偶然に驚いてしまう。でも忘れたくない「ありのままの自分」 2014/06/19
金平糖
4
B。2019/04/23
きるきる
1
あとがきに心動かされた。豊田さんの本をもっと読みたい!2010/02/19
小鈴
1
これは文庫になって欲しいですねぇ。子どもの暴力、DV、性的マイノリティ(SMに過度に嵌まる)、摂食障害の経験者が回復し、カウンセラーとなり同じ悩みの方々の話を聞く。彼彼女らのお話。当事者だったからわかり共鳴できる。人を救済なんてできない。でも、きっかけやタイミング、それとない働きかけはできるし、悩んでる彼らを待っている場所はあるのだ。でも、タイトルはちょっと恥ずかしいよね、買うとき。2009/03/06
桐一葉
0
図書館。関心を持ってる、けれども知り得ない部分を見せてくれはった。この取材を本にしてくださってほんまに有難い。作者ご自身が切実な思いを抱いてらっしゃるから、こんなぎっしり詰まった読み応えのある一冊に仕上がるんやなぁと実感。弱さを曝け出し、進んでゆく姿を見た。あたしも弱さを出せへんくて、勝手に一人で悶々と悩んで。。けど一人、爆発した時に受け止めてくれる友達が居る。今までどれだけ救われたか。出会ってなければ、なんらかの不具合が出て、カウンセラーを探して彷徨うことになってたんやなと容易に想像できる。2015/10/22