目次
1 音数律から見たアジアの歌文化―序にかえて
2 アジアの中の和歌
3 中国古典詩の音数律―対偶性と人為性
4 南島歌謡の音数律
5 アイヌ歌謡と音数律
6 アジア辺境国家の七五調―ペー族の五・七音音数律を遡る
7 定型詩の呪力の由来―中国壮族のフォンの場合
8 漢族の声の歌における歌詞の規則性と多様性―中国陝西省紫陽県漢族の掛け合い歌を事例に
9 ヤミ歌謡に音数律は有るのか?
10 ホジェン族民謡のリフレインのルーツを探る
11 アジアの歌文化と日本古代文学―あとがきにかえて
著者等紹介
岡部隆志[オカベタカシ]
栃木県出身。明治大学大学院文学部前期課程修了。共立女子短期大学教授
工藤隆[クドウタカシ]
1942年栃木県生まれ。東京大学経済学部卒業、早稲田大学文学研究科大学院(演劇専修)修士課程修了、同博士課程単位取得退学。大東文化大学文学部教授
西條勉[サイジョウツトム]
1950年(昭和25)北海道別海町生まれ。早稲田大学大学院文学研究科単位取得満期退学。専攻;日本古代文学・神話学。現職;専修大学教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
12
図書館にて。漢詩史から派生して手にしたもの。古代日本の歌文化を、中国大陸の江南、南西部少数民族の歌文化などと比較する試み。一昔前に「照葉樹林文化論」があり、この地域には歌垣が存在することが言われていた。この文化論自体は見直されているが、日本と同様に歌垣&兄妹始祖神話を持つ地と持たない地域がある。アイヌ、朝鮮、台湾の高砂族にはない。雲南やマレー半島にはあるが、海峡を隔てたスマトラ島にはない。近年、遺伝子分析等により、日本語のルーツ自体は遼寧あたりとされているので、なかなか解釈がむつかしいなァ2024/02/27
kozawa
2
中国周辺の少数民族にも多く見られる七五調(?)。日本の七五調と結びつけて東アジアの七五調を見る。野心的と言っていい気はする。しかし。日本の其れは今迄の研究を元に、何故六や八ではなく七五調が合うのかについて踏み込んでいるのにもかかわらず、中国のそれへの踏み込みが甘い上に、音韻の違う日本と古典中国漢詩のそれとが何故類似しているのかも踏み込み切れているとは言い難い。や、専門的に踏み込んだ記述も少なくないので私が読み取り切れてない部分がある可能性はあるがそれにしても、古典漢詩については書かなくても前提なのか。2011/03/23
竜王五代の人
0
「漢詩入門 (岩波ジュニア新書)」で、和歌-俳句と七言-五言の関係が似ているのでは、という思い付きを得たので知見が得られないかと読んでみたが、関係なかった。それはそれとして8モーラと〈二音の環〉と意味との調整用の休止を加えて日本語の七五調を導き出した坂野信彦の発想は腑に落ちる。しかし、8モーラと調整休止という人間の生理に基づいたものなのに、アジア各国で厳密に適応できるかと言えばそうでもないところがよく分からないところ。あと、中国チョワン族のフォンという地域ごとにリズム違いで根付いた歌の話が興味深かった。2021/03/11