内容説明
時代を越えてことばを見つめつづけてきた著者が、いま、考えていること。ことばについての10のスケッチ。
目次
地理的言語
第四人称・第五人称
センテンスとパラグラフ
敬語の論理
目のことばと耳のことば
ワレとナンジの間
多数決
あいさつ(ファティック)
外国語の意味
通信革命
著者等紹介
外山滋比古[トヤマシゲヒコ]
1923年愛知県に生まれる。東京文理科大学英文科卒業。雑誌『英語青年』編集、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授を経て、同大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ホークス
38
「転がる石は苔をつけない」という諺には解釈が二つある。英国は「仕事を転々とする者は金が貯まらない」とネガティブ。米国は「絶えず動きまわる者は苔などつかず輝いている」とポジティブ。方や多民族支配を基礎付ける歴史主義、方やリアルに多民族混在の地域主義。絵空事ありきの日本文芸に対する松尾芭蕉のリアリズムも似た構図。芭蕉は日本文芸の印象派的存在か。日本語の句読点や段落は海外からの借り物だから、不慣れで当たり前。「読み書き」以上に機能的な「会話」が日本で重視されない問題は奥が深い。物事を原理から論じる姿勢に共感。2019/05/01
壱萬弐仟縁
17
ことばには歴史的性格・意味と、地理的性格・意味がある(5頁)。 書き手と読み手とは交流してはいけない、交流しない方が興味ぶかく 読むことができる(26頁)。 古典は時の試練を代表する第五人称読者によって成立する(31頁)。 日本文化は沈黙の文化である(74頁)。 多言を慎みたいと思った。 2014/03/25
kiho
2
言葉のとらえ方に、これまでの多彩な経験が反映されていて、なるほどなぁと思う点も多々☆日本語だけに固執せず時代の流れや若い人たちの有り様も受け止める外山さん♪その関心の向け方に深みを感じます。2013/09/29
ゆら子
2
現代文にちょくちょく登場する外山滋比古氏。正直、よくわからないところも多かったです。ただ、「ことば」と人との関係性や、「なぜ(私は)英語の文法を勉強するのに抵抗を感じたのか」「ツイッターは第二人称不明確な中での第一人称文化でありながら、その反対の働きもしているんだな」というようなことを考えさせられました。2013/02/08
冨樫くんとノス
1
著者は、言葉は生き物だと変化を認め、新しい日本語にも寛大。「犬も歩けば棒にあたる」という言葉は、間違いが広まったことで認められ今に至っているそう。わたしも「犯罪を犯す」はおかしいなんていつまでも言ってちゃいけないんだっ!…よね?^^;2012/12/27