内容説明
古来、疫病は、社会を変え、歴史を変え、人々の世界観を変えてきた。いま、新たな感染症が懸念される時代に、人と病との長い歴史から、疫病の意味論を読む。
目次
疫病と文明(ヨーロッパの黒死病;現代文明とエイズ)
疫病流行史(古代日本人の病;近世社会とコレラ;天然痘、その流行と終焉)
疫病の記号学(創造される病―癩と性;性病―江戸のエロス;佳人と天才の病―結核のロマン化)
「病」を考える視点(寄生虫と感染症―病とその媒介生物の物語;未来の感染症)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
K
1
(1999,493.8)カウンター展示しようと思ったら、予約が入っていたので泣く泣く次に回す。養老先生のがいい。あと立川昭二氏の性病も。コロナ鬱の人はやっぱこういうの読むといいよ。深呼吸しながら。2020/05/30
徒野
1
ペストについて知りたかったので村上陽一郎「ヨーロッパの黒死病」のみ読了。十四世紀の黒死病期について詳しいボッカチオ『デカメロン』の引用を中心とした展開で、黒死病によって社会制度面・精神面などにおいて人びとの間でどのような崩壊が起こったか端的に纏めてあり、わかりやすく読めた。これから調べてゆく前振りにはちょうどよかったと思う。2014/12/04
えろこ
0
「俺、疫病マニアなんだぜ」なんて言ったら、大概の人はどんびきですよね・・・。でもこの本おもしろいです。特に面白いのが梅毒の話です。中・近世のヨーロッパでは梅毒に罹患したなんて知られた日には、それこそ最大の恥辱、男・女たらしの汚名を一生背負うことになったのだそうです。一方同時代の日本では、そのことを知られても「まあ、お気の毒に」程度にしか思われなかったのだそうです。開国して、外人が日本にやってきたとき、梅毒患者が平気で街中を歩いているのを目撃し、大層驚いたのだとか2010/12/16