アジア文学館

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  • サイズ B6判/ページ数 170p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784434210297
  • NDC分類 929.13
  • Cコード C0397

内容説明

宇宙で一番美しい娘「宇美」、一番カッコイイ男「宇一」と親に名付けてもらった姉と弟。だが、母は貧困と父の暴力に耐えかねて家を去り、父は出稼ぎに出たまま戻らない。幼いふたりはまるで荷物のように親戚をたらい回しにされ、やがて見知らぬ町の、ワケありの住人たちが暮らす長屋にたどり着く―。現代の韓国社会を舞台に、両親に置き去りにされた子供の心の叫びを、宇美の容赦ない目を通して描く。2003年ドイツの文学賞“リベラトゥル賞”受賞。韓国で初めての海外の文学賞受賞作品。独・仏・英・露語など10カ国語に翻訳。

著者等紹介

オジョンヒ[オジョンヒ]
呉貞姫。1947年ソウル生まれ。大学在学中に短編「玩具店の女」が中央日報紙の「新春文芸」に入選し文壇デビュー。79年「夜のゲーム」で李箱文学賞、82年「銅鏡」で東仁文学賞と、韓国の二大文学賞を受賞。長編小説『鳥』で2003年ドイツのリベラトゥル賞受賞。韓国人作家として初めて海外の文学賞を受賞する。『鳥』は独・仏・英語など10カ国語に翻訳されている。現在、東仁文学賞の審査委員

文茶影[ムンチャカゲ]
1958年大阪市生まれ。31歳の時に渡韓、延世大学韓国語学堂で韓国語を学ぶ。日本語教師を務めながら40歳から晩学、東国大学文芸創作科卒業。その後韓国文学翻訳院で翻訳を学ぶ。現在、ソウルで日本語を教えながら翻訳者として活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

24
どなたかも書いていましたが映画『誰も知らない』を思い出しました。2019/12/04

あずき

10
1980年代の韓国を舞台に、育児放棄され部屋に置き去りにされた小学生の姉弟、二人の生活。と言っても、小学校に通い、同じ長屋の様な住宅に住む、訳ありな住民に、細々ながらも目をかけて貰える日々。姉の弟に対する姉弟以上に、親にもならなければならない感情が辛い。まだまだ親に甘えたい時期に自立しなくてはいけない環境。読むほどに心に刺さる内容なのに、文章はその残酷さを暴き立てるのではなく、あくまで時の流れるごとく。小川洋子さんの「琥珀のまたたき」でも感じた、孤高とも言える姿に、親とは何かを考えずにいられなかった。2015/12/20

タカラ~ム

9
「宇宙で一番美しい娘」を意味する“宇美”と名付けられた少女と「宇宙で一番カッコイイ男」を意味する“宇一”と名付けられた少年。姉弟はその名前とは裏腹な生活を送る。彼らが置かれている状況は不幸なのか、それとも幸福と考えるべきなのか。訳ありの長屋は、姉弟や他の住人たちにとっての鳥かごであるが、鳥かごに囚われているから不幸というわけではない。人間にとっての幸せと不幸せの価値観を考えたくなる。2016/01/24

スイ

4
母は出て行き、親戚をたらい回しにされ、迎えに来た父もまた失踪。過酷な状況で生きる幼い姉弟の話。読みながら、映画「誰も知らない」を思い出した。少しずつ追い詰められていく姿に胸が苦しくなるが、小説の空気はどこか滑稽。そうだ、生きていくというのは滑稽だ。姉の視点からずっと語られるのだけど、語りの幼さと早熟さのバランスが絶妙。文章がとても美しく(訳も非常にいい)、辛い作品ではあったけれど、作者の他の小説も読みたくなった。2016/01/01

猿田彦

3
父の暴力で母は出て行き、親戚の家をたらいまわしにされる兄弟。若い女と暮らすために気まぐれに迎えに来た父だが、女にも暴力を振ったうえで仕事と言い父は出て行く。残された3人、やがて女も出て兄弟だけが残る。姉の目線で自分たちを取り巻く環境が淡々と説明され描かれている。助けてや辛いという表現もないことで逆に読み手にどうしようもない苦しさを与える。貧困や虐待が幼い兄弟にこれでもかというほど襲い掛かる本書は小説というよりレポートのように感じた。兄弟の意識や感覚がマヒしていく中で二人の兄弟はどうなっていくのだろうか?2016/01/11

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