内容説明
通勤電車で吊革を握りながら見た蒼い空、鉄橋を渡る音、北の国の観光ポスター、ターミナル駅で出会った長距離列車。ありふれた日常に「旅」を感じる一瞬、自分の中の逃避願望が湧いてきて、ふらりと鉄道に乗って日常からの脱出を試みる。現実からの逃避と癒しを鉄道の旅に求めるサラリーマンの週末―第1回アルファポリス旅行記大賞受賞作。
目次
週末鉄道紀行
東京~大阪間を旅に変える
三泊三日稚内への旅
著者等紹介
西村健太郎[ニシムラケンタロウ]
1973年2月生まれ、大阪府門真市出身。大阪芸術大卒、法政大大学院修了。横浜市在住。旅行専門誌編集者などを経て現在IT専門紙記者。Webサイト「鉄道紀行への誘い」で第1回アルファポリス旅行記大賞を受賞し、2009年「週末鉄道紀行」を刊行する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
47
都会の職場から、仕事帰りに行ける近場の鉄道紹介かと思って読み始めたが、もっと本格的に日本をめぐる旅だった。サラリーマンとしての立場から、どうにもならない都合を乗り切る点に、ちよっとしたサスペンスがある。かつて読んだことのある宮脇俊三のような味わいもあった。それにしても現在の夜行列車の状況を考えると、こんな旅は今は夢かと思うと、悲しいものがある。2018/07/20
ホークス
42
鉄道と旅を愛する勤め人が、「旅心を癒し、鎮めるためのささやかで小さな鉄道旅」を綴る。仕事が終わった夜の時間で首都圏近郊の旅を敢行したり、昔の時刻表を徹夜で読み耽ったりと筋金入りである。廃止直前のブルートレインでの九州往復は、土曜夜に出て月曜朝そのまま出勤。どの旅も切り詰め方が徹底している。寂れてしまった駅や街について、いちいち律儀に感想を述べる著者がいじらしい。夢中で心遊ばせる何かがこの世界で生きる拠り所だが、著者のピュアな愛着はそのお手本と言える。余りに長い時刻表話だけは参りましたが。2018/03/28
saga
37
乗り鉄版1週間の唄。週末の格安鉄旅をプランニングして始まる月曜日から、現実逃避と妄想の木、金。土・日には、廃止されようとする最後の寝台特急「富士・はやぶさ」2泊2日で月曜日を迎える。青春18を効率的に使って全国を旅してきたからこそ夜行列車にこだわりがあるんだと理解できる。2016年11月、JR北海道路線の半分が維持困難との報道がタイムリーに響いた「三泊三日稚内への旅」。北海道は厳しい。バス転換ならまだしも、路線そのものが失われてしまうかも。今、乗りに行かねば!2016/11/18
Yutaka Matsuzawa
11
乗りテツの紀行本。私自身乗っている方なので、共感点が多くかなり楽しめた。意外な展開の、旅を始めるまでの一週間。妻子と行く東海道新幹線の車窓案内。普通列車で行く最北稚内。三つの話がメインだが、鉄道旅で遭遇する出来事を、宮脇俊三のような抑えた文章で沢山書いてある。最近沖縄の本も読んだ影響か、私も逃避、イヤどこかへ行きたくなる一冊であった。◎2016/07/12
ちょこまーぶる
8
作者が実際の旅行をした行程を綴っていて、その際の様々な風景や出会った人の描写などを書いていて、非常に楽しく読むことができた。なにより、自分自身も眺めたことのある風景や過去に乗ったことのある列車が登場した時は、自分自身の記憶もたどってしまうぐらい嬉しい物である。旅立ちたくさせてくれる一冊である。2013/06/08