内容説明
「秩序問題」という社会理論の問題の立て方は、根本のところで間違っていたのではなかろうか。近代の社会科学は人々の主観を超えたところに社会の客観的把握の根拠を設定してきたが、著者はそれを否定して、制度とは人々の主観的な意味世界に究極の根拠を置く理念的実在であるとする。意味の体系としての社会は、あたかも暗い宇宙空間を背景にしてただ一つ青く輝く地球のように、宙に浮かんでいる。個人主義的社会実在論ともいうべき構図をとることによって、制度にまつわるさまざまな謎を鮮やかに解明する現代自由学芸の騎士による、新たな構想力の論理をめざす旅の物語。
目次
第1章 制度という問い
第2章 パーソンズにおける秩序問題
第3章 秩序問題のゲーム論
第4章 コンヴェンションへの懐疑
第5章 規範の意味論
第6章 ルールの実在論
第7章 社会的世界についての知識
第8章 方法論的個人主義を超えて
第9章 制度の概念
第10章 二次理論としての制度論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふにゃ
1
読み応えのある一冊。一度挫折した本だったが、再読してよかった!とてもわかりやすく書かれていた。/制度とは、個々人が「制度ってこういうものだろう」と考えて動くことによって生まれる。だからこそ、人々の意味世界の探求が必要である。/日常生活の例がふんだんに盛り込まれていた。筆者は社会学理論と自らの日常を自由自在に行き来しているんだろうなと思った。2013/06/18
抹茶ケーキ
0
制度について触れている研究は多いけれど、実際その制度がどのようなものなのか、組織などとはことなるのか、ルールはそこにどう関わるのかとか、そういった基本的なところに触れているのは少ないので、そういう意味で貴重だと思った。ここでの概念をどうやって実証に使っていくのか興味があるので、他の本も色々読んでみようと思った。2016/09/13
ずほ
0
読んでいて非常に楽しかった。基本的な制度とは何かという問いを非常に丁寧な議論で深めていくその有様は僕が惹かれた社会学そのものだった。 ホッブスやパーソンズにおける秩序問題という問題の立て方を、理論的に構成された社会モデルが自ら作り出した問題であり、構造的に一次理論内部の問題から脱却できない。と示すあたりなんかはその議論の切れ味がわかる。2014/04/08
たり
0
非常に基本的なConceptをしっかり構築してくれている=きっちり足場を作ってくれているので、 この上でいろいろ踊ることはできそう。 ただ、見所は盛山先生の無双っぷり(古今東西の社会科学者をばったばったと切り倒すw) と、学生への愚痴ですねw おもしろかったです。 2009/12/04
tooka
0
制度が習慣からきているとか行動に根ざしているものだとかいう考え方を批判して、制度とはどういった存在であるかの考察、また制度の研究方法に言及している。制度とは、個々人において超越的で普遍的な性質を持った集合的実在の観念の存在を他者も了解していると前提しているから維持される。2009/11/13