内容説明
本書は、『神学大全』という一冊の書物と現代のわれわれとの間に立ちはだかる見えざる壁を打ち砕き、「人となった神」という受肉の神秘を中心に据えた探究の書として読みとく。長年にわたり『神学大全』の訳業に従事した著者の筆致を通し、“万人に共通の博士Doctor Communis”トマスが、善く生きるための知的探究を徹底的に行なうことを問いかける。存在論や認識論など哲学の課題のみならず、自由と悪、正義など政治や倫理の諸問題にも大きく関与し、現代の閉塞する思想状況に、豊かな示唆を与える画期的業績。
目次
序論 トマスの「神学」について
第1章 「一」なる神と「三・一」なる神
第2章 創造とは何か
第3章 人間の幸福について
第4章 トマスの「宗教」観
第5章 トマスの神学的キリスト論
第6章 トマスの秘跡論
著者等紹介
稲垣良典[イナガキリョウスケ]
1928年佐賀生まれ。1951年東京大学文学部哲学科卒業、九州大学文学部教授、長崎純心大学大学院教授を経て、九州大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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