出版社内容情報
極楽浄土に往生するためには一切の執着心を捨てて念仏を称えよ。「捨てる思想」を体現した一遍の言葉から、その生き方をたどる。
「捨聖(すてひじり)」とも「遊行(ゆぎょう)上人(しょうにん)」ともいわれる一遍。彼が生きた鎌倉時代は激動する不安な社会であったことから、極楽浄土に生まれ変わることを願う阿弥陀信仰が盛んだった。一遍は16年間全国を旅しながら、衣食住にしがみついて念仏に集中できない人々に、一切の執着心を捨てよと諭した。「捨てる思想」を体現した一遍の言葉を『一遍聖絵』『一遍上人語録』などから読み解く。
内容説明
衣食住にしがみつくな!「捨てる思想」を自ら実践した遊行僧のすごい生き方。
目次
言葉編(念仏と往生;捨てる思想;一遍とこころ;一遍の最期)
生涯編
著者等紹介
今井雅晴[イマイマサハル]
1942年、東京都生まれ。1977年、東京教育大学大学院博士課程修了。茨城大学教授、筑波大学歴史・人類学系教授を経て、現在は筑波大学名誉教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マウンテンゴリラ
3
浄土教系の僧侶として、今でも法然、親鸞に並び称されるほどの知名度を持つ一遍であるが、その特徴、前者との違いなどは、ほとんど知らなかった。まず形の上では、その特徴は、布教活動の仕方として挙げれるだろう。親鸞などにもそのような時期があったようだが、仏教者としてのほぼ全生涯を遊行に費やしたというのは、その典型と言えるだろう。 動機や目的は違えど、世俗を離れ、全国を行脚する、西行、芭蕉、そして一遍のような生き方には、何処かしら憧れや尊敬の念を抱く、というのは、日本人の心性として理解できる。→(2)2020/12/17