出版社内容情報
『おくのほそ道』に代表される型どおりの芭蕉像でなく、人情のしがらみを背負いつつも漂泊をつらぬいた、人間・芭蕉を描きだす。
「俳聖」とあがめられている松尾芭蕉が本当はどのような人物だったか不明な点が多いのに、『おくのほそ道』の旅のみが大きく取り上げられることによって、それ以外の人生が顧みられることが少ない。本書は、そのような偏った芭蕉像ではなく、芭蕉が書き残した言葉から、人情のしがらみを背負いながら、「浮雲無住」の境地に憧れ、漂泊の人生をつらぬいた真の人間像を描く。そのことによって、芭蕉の俳諧の解釈が大きく違ってくる。
目次
言葉編(伊賀上野から江戸へ(謡曲の文句を入れてしゃれてみる;古典文学を学びつつ句を詠む ほか)
『野ざらし紀行』の旅(旅立ちの悲壮感を演出;天命に従って生きようという姿勢 ほか)
『おくのほそ道』の旅(旅の随行者が路通から曾良に変わる;厳しく自らを律する生き方に共感 ほか)
晩年(出家の身なりで風雅に徹してほしい;執着を捨てようとして捨てきれず ほか))
生涯編
著者等紹介
田中善信[タナカヨシノブ]
1940年、石川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学大学院文学研究科修士課程修了。早稲田大学図書館、高知女子大学、文部省、武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)、白百合女子大学の教職員を経て、白百合女子大学名誉教授。専攻は日本近世文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。