出版社内容情報
気鋭のスポーツ科学者、トップアスリートの駆け込み治療師、プロ野球の名トレーナーの3人が、心と体の両面から怪我を読み解く。心が力むと体も力み、体が力むと心も力む。つまり、どのような動作が体に力みをもたらすかという正しい知識を得ることで、心のこわばりは解け、怪我を防ぐことができ、さらにはパフォーマンスの向上にもつながっていく。本書は、気鋭のスポーツ科学者、トップアスリートの駆け込み治療師、プロ野球の名トレーナーという第一線で活躍する3人の著者が、トップアスリートの事例を交えつつ、心と体の両面から怪我を読み解いていく。巻末には、競輪S級に籍を置く山内卓也選手と浅井康太選手を交えた座談会を収録。
まえがき――「怪しい我」が怪我をする
◆序章
欠点に意識を置くと怪我をする――理想的動作のジレンマ
「なんとかしよう」にご用心 ―― 心の力みは体の力み
あなたには引き出しがいくつある?
怪我はビッグチャンスである
治療師の「目」は、どこを見る?
激戦のプロ野球界で生き抜く術
研究室とフィールドが手を取り合って
◆第1章 常識を疑うことから始めましょう――手指、腕、肩、首
1.見た目にだまされてはいけない――手指の使いかた
五本指への絶妙なネーミング
不器用な薬指は、はたして必要か?
イチロー選手の小指を、クローズアップしてみれば
ほとんどのピッチャーが勘違いしているスナップ動作
体験すればわかる、二本指で押し込む強さ
すべての動作には、表と裏がある
今日の動作を、はたして明日修正できるか?
一流選手は目に見えない不調に気がつく
2.姿勢の変化は感情の変化――腕・肩の使いかた
腕の始まりはどこから?
肩凝りの筋肉は僧帽筋
肩肘を張らずに生きましょう
シュートの飛距離と安定感を、劇的に変える方法
肩凝りは胸凝り――大胸筋が猫背を招く
前肩の一流選手はあり得ない
アドバイスには気分と感情を添えて
3.しかめっ面は怪我のもと――首・顎の使いかた
首筋をゆるめる――胸鎖乳突筋
微笑んで練習するのは不謹慎
一流選手は、無意識に力みを外す動作に到達する
◆第2章 体も心も、力を抜く勇気を持て――股関節、脚、腰、膝
1.楽な動作を追い求めよ――股関節の使いかた
股関節の場所は、コマネチではない
太ももの骨は、股関節にどのようにはまっているか
掃除機のかけかたも、ウサイン・ボルトの走りかたも、外旋が正解
外旋の威力を体で確かめよう
指導者のみなさん、客観原理を感覚に翻訳できますか?
人間を携帯電話に例えると
腰を回す軸はどこにある?―― 一流選手の感覚ワールド
2.体は賢く、正しい動きを知っている――立ちかた
人間にもしっぽがある
立ちかたには前進型と後進型がある
静が動に変わる瞬間(とき)――前進型
いつでも後ろに発進する――後進型
支持点と重心点のずれ
体は知っている
ネイマールは足首を曲げて使う? 伸ばして使う?
メッシは、相手を抜く前に膝を抜く
3.無心になって、はじめてできること――膝の抜き方
腕力vs重力
満員電車で隣の人に喜んでもらう方法
ドログバの筋肉は、力を抜くためにある
膝を抜く感覚のエクササイズ
膝を抜くときは、遠くの山を見るように――?見の目?と?観の目?
地球と一体になる感覚――意識を外す
全力とは、筋力のMAXではない
神経や筋肉の働きが、人間社会のお手本となる
◆第3章 研ぎ澄まされた感覚を求めて
1.体と心をコントロールする要(かなめ)――水平感覚
あなたは?絶対水平感覚?を持っていますか?
聴覚は動作の司令塔
人間に備わるジャイロセンサー・加速度センサー――平衡感覚器
スポーツ選手に不可欠な?空間認識能力?
自分の動作を頭の中にイメージできますか?――体性感覚
武術の目付(めつけ)
五輪書の教え「少し頤(おとがい)を出す心なり」――顔の角度と緊張
イチロー選手のルーティンに秘められた遠山(えんざん)の目付
眼球を動かす筋肉
顔の角度で眼球の動きが制限される
「見る」とぶつかる、「見通す」とかわして抜ける――水平感覚と目線
2.常識を打ち破った先に拓ける世界――肩甲骨の使い方
腕の挙上の新定説
本当のゼロポジションはどこ?
アタックもブロックも、肩甲骨で「押す」
平泳ぎは、小さなモーションで大きな推進力を得る
流れるような背泳ぎに、大きなモーションは要らない
怪我の功名で勝ち取った、萩野選手の金メダル
あなたは、コーチの指摘に疑問を持つことができますか?
◆ 第4章 プロ野球チームのコンディショニングコーチに聞きたい21のこと
Q1.「良い選手は怪我をしない」とよく言われますが、本当ですか?
Q2.良い選手は、どうしてパフォーマンスが高く、怪我もしないのですか?
Q3.野球に必要なコンディショニングってどんなことですか?
Q4.ウエイト・トレーニングって必要ですか?
Q5.トレーニングメニューは、それぞれの選手で違っていますか?
Q6.プロ野球選手は、自分でメニューを考えるのですか?
Q7.怪我をする原因を教えてください
Q8.上手な休息の取りかたを教えてください
Q9.監督にアピールしたいので、どうしても運動量が多くなってしまうのですが
Q10.休むと負けだという気がしてしまいます
Q11.走り込み神話って本当ですか?
Q12.モチベーションが保てないときは、どうしますか?
Q13.加齢にはデメリットしかないのですか?
Q14.長距離トレーニングは必要ですか?
Q15.指導者にとってマネジメントで大切なことはなんですか?
Q16.選手のコンディショニングのために指導者ができることはありますか?
Q17.選手が痛みをうったえたときはどうすれば良いですか?
Q18.痛みを隠したがる選手には、どのように声を掛けたら良いですか?
Q19.怪我をプラスに変えることはできますか?
Q20.一流選手はウエイト・トレーニングをしますか?
Q21.ずばり、一流選手になるには、どうすれば良いですか?
一流のトレーニングコーチとは?(小田伸午)
◆座談会 山内卓也×浅井康太
◆あとがき
小田 伸午[オダ シンゴ]
小田伸午
1954年生まれ。東京大学教育学部卒、同大学院博士課程単位修得退学。京都大学高等教育研究開発推進センター教授を経て、現在、関西大学人間健康学部教授。人間・環境学博士。元日本代表ラグビーチーム・トレーニングコーチ。股関節の外旋や顔の角度など、トップアスリートの身体部位や感覚に着目した研究を追究。北京五輪のソフトボール日本代表チームのトレーニングに関わったほか、北京五輪のケイリン銅メダリスト永井清史選手や、サッカー日本代表の前田遼一選手らにも影響を与える。主な著書に、『アスリートの科学』角川ソフィア文庫(角川学芸出版)、『ヒトの動き百話』(市村出版)、『スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと』『サッカー選手なら知っておきたい「からだ」のこと』『野球選手なら知っておきたい「からだ」のこと(以上、大修館書店)などがある。
小山田 良治[オヤマダ リョウジ]
小山田良治
1965年福岡県生まれ。スポーツマッサージ五体治療院代表。プロ野球選手、Jリーグサッカー選手、競輪選手など、多くのスポーツ選手を独自のスポーツマッサージ術で治療するとともに、怪我をしないための動作やトレーニングについてのアドバイスを行う。1998年に小田伸午と出会い、後に、木寺英史を加えて動作研究する「常歩研究会」を立ち上げる。股関節の回旋運動に着目し、ストレッチングに応用。ニ直線走歩行や股関節外旋などについて早くから提唱し、常に身体運動の最先端理論を開拓している。
本屋敷 俊介[モトヤシキ シュンスケ]
本屋敷俊介
1975年大阪府生まれ。プロ野球トレーナー。2004年から2015年まで、オリックス・バファローズ(2004年までオリックス・ブルーウェーブ)のコンディショニングコーチを務めた。高校卒業後の19歳でアメリカに渡り、カリフォルニア州立大学へ入学。6年間にわたってスポーツ選手のトレーニングやコンディショニング方法を学んだ後に、2000年にシアトル・マリナーズへインターンとして迎え入れられた。2001年にオリックス・ブルーウェーブからイチローが入団した縁で、同球団との関係者と知り合ったことから、2001年にトレーナーとしてブルーウェーブに入団。2004年からコンディショニングコーチに就任すると、後継球団のオリックス・バファローズでも引き続き担当。数多くの選手のリハビリおよびトレーニングを担当し、実績と真摯な姿勢で選手から厚い信頼を得た。2016年からは、阪神タイガースの一軍トレーナーとして活躍している。
内容説明
怪我はビッグチャンスである。イチローの小指を、クローズアップしてみれば…。すべての動作には表と裏がある。シュートの飛距離と安定感を、劇的に変える方法。アドバイスには気分と感情を添えて。微笑んで練習するのは不謹慎?怪我の功名で勝ち取った、萩野選手の金メダル…など、世界一受けたいスポーツの授業。
目次
第1章 常識を疑うことから始めましょう―手指、腕、肩、首(見た目にだまされてはいけない―手指の使いかた;姿勢の変化は感情の変化―腕・肩の使いかた ほか)
第2章 体も、心も、力を抜く勇気を持て―股関節、脚、腰、膝(楽な動作を追い求めよ―股関節の使いかた;体は賢く、正しい動きを知っている―立ちかた ほか)
第3章 研ぎ澄まされた感覚を求めて(体と心をコントロールする要―水平感覚;常識を打ち破った先に拓ける世界―肩甲骨の使いかた)
第4章 プロ野球チームのコンディショニングコーチに聞きたい21のこと(「良い選手は怪我をしない」とよく言われますが、本当ですか?;良い選手は、どうしてパフォーマンスが高く、怪我もしないのですか? ほか)
座談会 山内卓也×浅井康太
著者等紹介
小田伸午[オダシンゴ]
1954年生まれ、東京大学教育学部卒、同大学院博士課程単位取得退学。京都大学高等教育研究開発推進センター教授を経て、関西大学人間健康学部教授。人間・環境学博士。元日本代表ラグビーチーム・トレーニングコーチ。股関節の外旋や顔の角度など、トップアスリートの身体部位や感覚に着目した研究を追究。北京五輪のソフトボール日本代表チームのトレーニングに関わったほか、北京五輪のケイリン銅メダリスト・永井清史選手やサッカー日本代表の前田遼一選手らにも影響を与える
小山田良治[オヤマダリョウジ]
1965年福岡県生まれ。スポーツマッサージ五体治療院代表。プロ野球選手、Jリーグサッカー選手、競輪選手など、多くのスポーツ選手を独自のスポーツマッサージ術で治療するとともに、怪我をしないための動作やトレーニングについてのアドバイスを行う。1998年に小田伸午と出会い、後に、木寺英史を加えて動作研究する「常歩研究会」を立ち上げる。股関節の回旋運動に着目し、ストレッチングに応用。二直線歩行や股関節外旋などについて早くから提唱し、常に身体運動の最先端の理論を開拓している
本屋敷俊介[モトヤシキシュンスケ]
1975年大阪府生まれ。プロ野球トレーナー。2004年から2015年まで、オリックス・ブルーウェーブ→オリックス・バファローズのコンディショニングコーチを務めた。高校卒業後の19歳でアメリカに渡り、カリフォルニア州立大学へ入学。6年間にわたってスポーツ選手のトレーニングやコンディショニング方法を学んだ後に、2000年にシアトル・マリナーズへインターンとして迎え入れられた。2001年にオリックス・ブルーウェーブからイチローが入団した縁で、同年にオリックス・ブルーウェーブに入団(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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