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明るい炭鉱

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  • サイズ B6判/ページ数 253p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784422300436
  • NDC分類 567.092
  • Cコード C0030

出版社内容情報

産業としての衰退、悲惨な事故など「暗い」イメージの源にも触れながら、「明るい」炭鉱の世界を描きだす異色ノンフィクション。

日本の近代を支えた黒いダイヤ=石炭。その生産現場である炭鉱地域は、余所者が三々五々集まってできた、物資も人心も豊かな人工コミュニティであった。北海道の空知・幌内炭鉱で労務の息子として育った著者が、その半生と炭鉱遺産を活用した地域NPO活動を通して綴る、炭鉱の本当の姿とその未来。産業としての衰退、悲惨な事故の事実や記憶など「暗い」イメージの源にも触れながら、「明るい」世界を描く異色ノンフィクション。

◆明るい炭鉱 目次(未定稿)

はじめに

第1章 「明るい炭鉱」を知るための基礎知識

炭鉱とはそもそも何か
 総合産業としての炭鉱
 地上の世界と地下の世界
炭鉱を開くための準備作業
 金属鉱山と炭鉱の違い
 明治政府の北海道開拓使設置
 フロンティアの消滅とお雇い外国人の来日
まずは地中に向けて坑道を掘る
 水平坑
 斜坑
 立坑
 入気と排気
 掘進|坑道を掘る
ようやく石炭を掘る
 前近代的な狸掘り・残柱式
 ロングによる能率向上
 炭鉱と木材
 カッペの登場と機械化の進展
 自走枠・ドラムカッターによる画期的な能率向上
 高度の機械化による職場の変化
 掘った跡を埋める
 最後まで人力頼みの急傾斜採炭
そして地上へ石炭を運ぶ
 地味だが重要な「運搬」
 坑内から坑外へ
 立坑による石炭輸送
 ベルトによる石炭輸送
 坑外から坑内へ
 モテる運搬員
最後に石炭を選りだす
 選炭
 排水処理
 ズリ山・ボタ山
 貨車積み
 石炭輸送と鉄道
坑内作業を支える大切な仕事
 守りの仕事、「工作(機電)」
 裏方の力持ち、「仕繰」
 攻めの職種、「測量」
炭鉱の従業員と生活
 職員と鉱員
 労働時間
 入出坑
 炭住街

第2章 ある炭鉱家族の物語

 四五万分の一の物語
 北炭幌内炭鉱
 黒船来航と炭鉱開発
 幌内炭鉱の発見
 明治の国策会社「北炭」の成立
 鉄道国有化と新鉱開発
 北炭における幌内鉱の地位
 最新鋭の新幌内砿
 幌内砿の行き詰まりと両砿の統合
 ガス爆発事故の発生
 北炭からの分離と一一〇年目の閉山
 石炭から電力、動燃まで
父の物語
 祖父の北海道入植
 樺太での事業の成功
 終戦ですべてがゼロに
 野球でスカウトされ北炭の鉱員に
 結核入院が契機となって結婚
 念願の職員登用
 新幌内から幌内へ移る
 炭鉱労務という仕事
 最初は福利厚生の担当に
 狭義の「労務」担当に労務
 鉱員確保の主戦場
 採用あれば解雇あり
 労務係長からの左遷
 ヤマとの別れ
私の物語
 「労務屋」の息子として
 人生のスタートは新幌内の鉱員炭住
 一九六七年、幌内の職員住宅へ
 特殊技能を磨く
 入退院を繰り返す母
 複雑な心境の正月
 思い出の多い社宅
 一九七五年一一月二七日午前二時
 最後の社宅「ヤ四八」
 職員の子供の孤独感
 市内各所に広がる行動範囲
 山を越えてのフィールドワーク
 「万字地区野外観察報告書」
 次いで夕張巡検へ
 「僻地の天才、岩東来ればただの人」
 地の底二六八番からのスタート
 地理学と経営学と
 二つの研究課題
 今日に続く活動の基
 炭鉱出身者が炭鉱を忌避する理由
 魔法の言葉、「何もさ」
 常に非ず

第3章 歴史的転換点の現場

内容説明

そこは、本当に暗くて悲惨なだけの場所だったのか?失われたコミュニティの冷静な見直しから造形する、日本の未来像。

目次

第1章 「明るい炭鉱」を知るための基礎知識(炭鉱とはそもそも何か;炭鉱を開くための準備作業;まずは地中に向けて坑道を掘る;ようやく石炭を掘る;そして地上へ石炭を運ぶ;最後に石炭を選りだす;構内作業を支える大切な仕事;炭鉱と従業員と生活)
第2章 ある炭鉱家族の物語(北炭幌内炭鉱;父の物語;私の物語)
第3章 歴史的転換点の現場(スクラップ・アンド・ビルド政策導入の背景;「見習社員集合教育日記」に見る第一の現場;大規模ビルドアップの明と暗;「被災家族に対する説明」に見る第二の現場;終わりなき破綻の連鎖)
第4章 炭鉱は「暗い」のか?(筑豊は日本の炭鉱の典型なのか?;安直に過ぎる「暗い炭鉱」対策;時代の潮目の変化)
第5章 「暗い炭鉱」からの新たな脱却(「炭鉱の記憶」を掘り起こす;「観光まちづくり」という発想;そちら産炭地域の見取り図;ドイツなど海外の事例;「明るい炭鉱」へ道筋をつける)

著者等紹介

吉岡宏高[ヨシオカヒロタカ]
1963年生まれ。北海道三笠市の炭鉱で育つ。福島大学経済学部卒、札幌学院大学大学院地域社会マネジメント研究科修了。日本甜菜製糖、たくぎん総合研究所を経てまちづくりコーディネーターとして独立。現在、NPO法人炭鉱の記憶推進事業団理事長として、故郷の北海道空知産炭地域で炭鉱遺産の保全・活用に向けた活動を実践している。他に、NPO法人霧多布湿原ナショナルトラスト理事などをつとめ、札幌国際大学観光学部教授として教壇にもたっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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どんぐり

4
北海道の産炭地である空知地方は、僕の生まれ育った町でもある。自分の父親も炭鉱労働者で、この本にも出てくる3つのヤマを採炭夫として渡り歩いた。もう随分と昔のことだが、あの炭住の長屋生活をある意味懐かしく想い出しながら、読んだ。これまでの炭鉱の記憶は、井上光晴や上野英信などの作品があるように暗い面が喧伝され、「負の遺産」として語られ過ぎたのかもしれない。この「炭鉱は暗い」という思い込みからプラスへの転換を図り、地域の活性化に結びついた町づくりに期待したい。2013/01/24

snsk

2
地下の奥底でツルハシもってエンヤコラ、というごく一面的な炭鉱の印象だけを持っていた自分にとっては、地上に運びだして出荷するまでやその他諸々の総合産業としての炭鉱を知ることができたという意味ではとても新鮮でした。が、全体を通してみると「炭鉱=暗い」という一般的なイメージに対するルサンチマンが透けて見え、文章もわりと否定的な側面に目が向きがちな印象で、タイトルにそぐわないように感じられたのが少し残念でした。2016/01/03

カステイラ

1
最後の地域おこしのところは飛ばし読み。炭鉱で石炭を掘ることをわかりやすく書いていて、炭鉱とはどんなところ?と思う人にオススメの本。技術の進歩が進むほど日本の炭鉱を衰退させていったというのがなんか悲しい。2015/03/28

Nobuhiko Nishimura

1
炭鉱の記憶推進事業団の吉岡先生のご著書。私のような炭鉱を知らない世代への炭鉱入門の書であり、疲弊にあえぐ産炭地域の再生方途を示す実践の書であると同時に、父への愛溢れるオマージュの書である。吉岡先生の講演はこれまで何度か聴く機会があり、財政破綻後に夕張に通い始めた私には、吉岡先生の言葉にややトゲを感じていたが、親子二代のライフヒストリーを通じて、いわゆる炭労史観への反発、堕ちた炭都・夕張への複雑な感情が、いかにして形成されたかが氷解した。産炭地域理解の豊富化を通じて「誇りの回復」を目指す試みに共感する所大。2013/02/18

shm

0
操業中は羽振りは良いが命の危険と隣り合わせ、閉山後は経済苦境と転換の失敗・・そんな産炭地のステレオタイプ的なイメージに一石を投じる。炭鉱労務と、まちづくり・地域マネージメントとが共通するという主張もユニーク。面白かった。良書。2013/02/09

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