アカデミア叢書
ユタの境界を生きる人々―現代沖縄のシャーマニズムを再考する

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  • サイズ A5判/ページ数 223p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784422230429
  • NDC分類 163.9
  • Cコード C0039

出版社内容情報

 本書は、現代沖縄の霊的職能者である「ユタ」に改めて着目する。ユタの研究は民俗学や人類学に限らず、精神医学、心理学、宗教学、社会学などの幅広い分野で行われ、1950年代には沖縄の宗教研究においてシャーマニズム現象に関心が向けられるなど膨大な先行研究がある。しかし、トランス状態で治療を行うのではないユタ、従来の先祖観を持たないユタ、未来のヴィジョンを伝えるユタ、伝統的なプロセスに即さないユタ、前世観をもち自らを「霊能者、シャーマン」と認識するユタなど、従来のユタ概念ではもはや説明のできない人々については、これまであまり着目されてこなかった。
 そこで本書では、「サーダカウマリやカミダーリなどユタの成巫過程と類似する点を持ちつつ、超自然的存在と直接交流・接触しながらユタ以外の新たな役割を生きる人々」のことを〈ユタの境界を生きる人〉として新たに定義する。そして現代沖縄、特に宮古島を主な調査地とし、ある女性のライフヒストリーから、ユタの境界を生きる人のどのような点がユタの成巫過程と類似するのか、神仏や龍などの超自然的存在と、どのような直接交流・接触がはかられているのか、そしてユタ以外の新たな役割が、どのように生きられているのか、憑霊や脱魂の実態も踏まえた上で、解き明かすことを目的とする。

内容説明

ユタなのか、ユタではないのか?宮古島出身のある女性のライフヒストリーから従来のユタ概念では説明ができない人の実態に迫り、神々が授けたユタ以外の新たな役割について文化人類学・民俗学的見地から考察する。

目次

第1章 ユタ研究史と本書の目的(ユタに関する先行研究;ユタなのかユタではないのか ほか)
第2章 ユタとは(ユタとはどのような人か;ユタになるまでの道のり ほか)
第3章 佳宮水樹さんの物語(幼少期から結婚まで;ユタの宣告を受ける ほか)
第4章 分析(成巫過程;カミダーリと変性意識状態 ほか)
第5章 ユタの境界を生きる人々とは(言葉で視る(Kさん)
御魂を授かる(Eさん) ほか)

著者等紹介

平井芽阿里[ヒライメアリ]
1980年名古屋市生まれ、沖縄県立宮古高等学校卒業。中部大学国際関係学部准教授。中部大学国際関係学部卒業後、沖縄国際大学大学院地域文化研究科で修士号、立命館大学大学院文学研究科で博士号を取得。京都大学大学院グローバルCOE研究員、日本学術振興会特別研究員(PD)を経て2015年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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