出版社内容情報
今日のように葬儀が業者によって行われるようになる前は自宅で葬式をして出棺の儀をし、野辺送りで火葬場や埋葬地に向かい、火葬や土葬をするのが普通だった。土葬は、条例で禁止されている一部地域を除くと、感染症による死亡などは別にして、法律違反ではないが、平成とともに大半が消えてしまった。
本書は柳田國男の『葬送習俗語彙』(昭和12年刊)に出てくる言葉の中から約180を選び、著者が約30年行ってきた聞き取り調査を盛り込みながら切り絵とともに解説したもの。喪のはじまりから、死者と向き合う湯灌・納棺、野辺送りの葬列、土葬・火葬・風葬の作法、魂がふるさとに帰る忌中祓い儀礼まで、伝統的なとむらいの諸相を明らかにする。それらは今日では考えられないほど死者に対する供養の心がこもっているが、同時に、死者や死に対する恐れの気持ちも強く反映されていた。
「国替え」「広島にタバコ買いに行った」「耳ふたぎ」「枕返し」など各地の葬送習俗に使われる言葉は独特の隠語で、馴染みがないと何を言っているのか分からないことが多い。それらの言葉を解き明かしながら、日本で長いあいだ行われていた葬送に関する風習を見つめ直し、日本人の精神生活を考える。著者の文章は軽妙で、また著者自身による切り絵は、写真では生々しすぎる情景を抵抗感なく目にすることができ、切り絵作品としても不思議な魅力があって引きつけられる。
内容説明
枕返し、夜伽、逆さ水…隠語と珍しい風習!柳田國男『葬送習俗語彙』(昭和十二年)で取り上げられた言葉の中から約一八〇を選び、著者自身の聞き取り調査を盛り込みながら、不思議な魅力をもつ切り絵とともに解説。日本人は死や死者をどう捉えてきたのか。
目次
1 喪のはじまり―お葬式の奇妙な隠語
2 枕返し―死亡直後の作法
3 湯かん・入棺、通夜、出立ちの盃
4 野辺送り―死人とともに冥土への旅路
5 三昧にて
6 野帰り―死者とかわす無言劇
7 日本人の弔いの源流
8 四十九日・初盆・弔いあげ
著者等紹介
高橋繁行[タカハシシゲユキ]
1954年京都府生まれ。ルポライターとして科学、人物、笑い、葬式を主要テーマに取材・執筆。高橋葬祭研究所を主宰し、死と弔い関連の著書が多い。雑誌『SOGI』で「弔いの系譜―仏教・民俗」を約十年連載。絵・イラストを描き、切り絵の個展を何度も開催。紙芝居形式の絵本DVD『あなたの村の野辺送り―日本のお葬式』を制作している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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