内容説明
1665年6月、ペストが大流行したためケンブリッジ大学は閉鎖され、学生や教師たちは立ち退きを余儀なくされた。そのなかに学士の称号を得たばかりのアイザック・ニュートンという若者がいた。当時23歳だった彼もまた、ケンブリッジを去り、生まれ故郷に一時帰省する。そして驚くべきことに、わずか1年半のあいだに、微積分法、光学(色彩論)、万有引力の法則という3つの大理論の基礎を築くことになったのである。この期間を歴史家たちは「驚異の年」とよんでいる。
目次
第1章 1665~66年―驚異の年
第2章 近代天文学の誕生
第3章 反射望遠鏡から重力まで
第4章 ついに、万有引力が!
第5章 勝利に次ぐ勝利
資料篇
著者等紹介
モーリ,ジャン=ピエール[モーリ,ジャンピエール][Maury,Jean‐Pierre]
1937年生まれ。2001年没。パリ第7大学で物理学を教えていた
田中一郎[タナカイチロウ]
1947年兵庫県生まれ。1973年、東京大学大学院科学史・科学基礎論修士課程修了。同年、日本大学理工学部物理学教室助手。1978年より金沢大学教養部助教授を経て、同大学大学院自然科学研究科教授
遠藤ゆかり[エンドウユカリ]
1971年生まれ。上智大学文学部フランス文学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
12
引きこもりがちで論争を好まないのに斬新な発見や理論を打ち立ててしまうので余計に論争を招いた、科学の革新者を解説。独創的な思考の持ち主が世に知られる場合のご多分に漏れず、リンゴの落下から結実した物理学上のアイデアをひっそりと隠していたニュートンに良き理解者で伝道者の友人ハリーが最大限の援助を惜しんでいれば、公表されなかったかもしれない知の歩み。時代がかっているものの理性的・科学的精神がまさに芽吹こうとしている様子がうかがえる豊富な古い図版は、味わい深い。デカルトを敬愛しつつ乗り越えていく哲学史的側面も言及。2018/01/24
misui
3
ニュートンの業績を当時の科学界の流れとともに紹介。ただしニュートンの人となりについてはあまり書かれておらず、パラダイムシフトの機運が高まる中で上手く立ち回った人という印象が強い。『プリンキピア』の出版にサミュエル・ピープスが一枚噛んでいるなんておもしろ情報も。2016/09/10
でろり~ん
0
ニュートンその人についてよりも、ニュートンの実績を淡々と書いている。絵で読む世界文化史というシリーズのようだが、17世紀の図画が豊富に載っていて、満足のいく内容だった。著者のジャン=ピエール・モーリという人の名前は別の何かで見たことがあるような気がする。 巻末のニュートンの手紙や、他の逸材たちの書簡などは、訳文とはいえ人類の最高峰といえる知性に触れた気にさせてくれるものだった。現代の我々は中世の、あるいは古代の知性にどれほどの理解を示せるのだろうか。2015/01/12