出版社内容情報
【解説】
19世紀以前の人間観に決定的な変革をもたらしたダーウィン進化論。この偉大な理論を打ち立てたのはどのような生い立ちをもった人間だったのか。だれも到達できなかった真実を彼がいちはやく理解できたのはなぜか。本書は1831年有名なビーグル号での航海などダーウィンの人生に焦点を当てながら、簡明にダーウィンの思想の核心部分を描く。これ1冊ですべてがわかるダーウィン入門の決定版。19世紀の美しい博物画を多数掲載。
【目次】
第1章 生い立ち
第2章 ビーグル号に乗って
第3章 選択説の成熟
第4章 騒然たる勝利
第5章 自然と文明
目次
第1章 生い立ち
第2章 ビーグル号に乗って
第3章 選択説の成熟
第4章 騒然たる勝利
第5章 自然と文明
著者等紹介
トール,パトリック[トール,パトリック][Tort,Patrick]
哲学者、言語学者、生物・人間科学を専攻。国際チャールズ・ダーウィン研究所の創立者・所長。『ダーウィニズムと進化の辞典』(1996年)により科学アカデミー賞受賞
平山廉[ヒラヤマレン]
慶応義塾大学経済学部卒業後、京都大学で越せきつい動物を専攻。現在、帝京平成大学情報学部助教授。爬虫類、とくに現生、化石を問わずカメ類の系統進化を研究している
南条郁子[ナンジョウイクコ]
1954年生まれ。お茶の水女子大学理学部数学科卒。仏文翻訳者
藤丘樹実[フジオカキミ]
1950年生まれ。慶応義塾大学文学部仏文翻訳者
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじさい
6
ダーウィンが唱えた「進化」「自然淘汰(選択)」などの学説はそれまでの「常識」を打ち砕く概念だった。センセーショナル過ぎて大きな抵抗にも遭ってきた。教科書に掲載されているダーウィンのイラストは、悪意に満ちた風刺画というイメージが湧かないだろうか?ゴリラを泣かせているものとか。。そういうトンデモナイ学説を発信することは命懸け。しかしダーウィンは常道を逸するくらい丁寧かつ膨大な量の研究・調査を背景にしているので、学説には絶対的な自信があった。今では進化や自然淘汰は「常識」として定着している。学者の鏡デス。2015/09/05
猫
5
図書館本。 ダーウィンの生涯と、進化論についてがわかりやすく纏められている。キリスト教的思想の影響力が強く、常識として広がっている中で、見て行動し、思考することで新たな事実・価値観を確立していくことのすごさと、それを世に出していく困難さがよくわかる。人種差別や女性差別に関する批判が誤解であることを何度も丁寧に説明されていて、ダーウィンの人柄の記述も含め、彼への敬意が随所に溢れている。2015/05/04
Meroe
5
ダーウィンのころの社会状況、ダーウィンの人生、『種の起源』の内容と影響と誤解、などがコンパクトにわかる本。絵画や本の挿絵や写真など、カラー図版多数(ダーウィンは、油彩肖像画の時代と写真の時代の間を生きた人だったのだ)。同時代や後世の「誤解」とそれへの反発、ダーウィンの汚名返上に燃えるこのような本を含め、ダーウィンの受容史はそれだけで相当に大きなテーマ。2012/05/29
ごうた
2
ダーウィンの生涯、思想、社会による受容を解説する良書。以前『種の起源』を読んだ時は生物学の専門的固有名詞を追いかけるのに精一杯だった。しかし、本書はダーウィンの理論をわかりやすく示し、かつての知識を立体的に再統合する手助けをしてくれた。本屋では『ダーウィン・エコノミー』たる書籍が売られ、彼の理論が経済学に組み入れられようとされる今日である。再び進化論への興味が湧いたので、本書を踏み台に、次は『人間の由来』に挑戦してみようかと。2018/04/22
クラーケン
1
本書の一番面白かった所は、ビーグル号のフィッツロイ艦長は乗り込むことになったダーウィンの鼻の形を見て、はじめは申し出を断ろうかと思ったという箇所。よく考えたら、犬好きでペットからも多くの進化論的な証拠を得たダーウィンが乗ったのが、ビーグル号っていうのが運命を感じる。ダーウィンの生涯や周りの人間関係を紹介しながら、この本における著者の一貫したテーマはダーウィンが優しい心の持ち主だったということ、決して人間は人間の選択淘汰等で、差別されていいものではないという心を持つこと。ダーウィンの著作にあたりたい2022/03/19