出版社内容情報
【解説】
今日のイギリスの地で,ゲルマン系諸民族の侵入に立ち向かったケルト人の英雄,それがアーサー王だったという。伝説の起源と周辺諸国での受容,物語としての面白さを解説。
内容説明
カール大帝の大孫を自認するカベー家に対し、プランタジネット朝は「善王アーサーと円卓の騎士の伝説」を作り上げて対抗した。王権の権威付けという実に実用的な目的から作られたこの伝説は、やがて思いがけない発展を見せてゆく。
目次
第1章 アーサー王と歴史
第2章 伝説の創造
第3章 アーサーの生涯
第4章 封建制と騎士道
第5章 花咲くアーサー王文学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
22
「円卓には上座はない」。コロンブスの卵でした。でも。アーサーが座った場所が「上座」になるのではと思う。そしてケルト神話にキリスト教がリミックスされて、「最後の晩餐」の長机へパラフレーズされる。伝説とはクリスマスツリー(プロット)の飾りつけ(挿話)のようなものだと思う。聖杯とかトリスタンとイゾルデとか。下剋上という言葉は大仰だけれど、挿話がプロットに繰り上がることもある。ところでアーサー王の伝説ってどういう風だったっけ。おさらいしてみたくて本を読み始めるも、派生や複合体でパンパンに膨らんでいて、迷子になる。2019/09/27
中島直人
21
(図書館)このシリーズは内容が薄い印象はあるが、ビジュアルが充実してて面白く読むことが出来る。カール大帝伝説を持つカペー朝に対抗するため、プランタジネット朝が作り上げたのがアーサー王伝説だったというのは驚きだった。2016/12/22
aisu
17
マンガ七つの大罪が、アーサー王伝説を元にしているらしいが、私はその伝説を知らなかったので、ふとこの本を手に取ったら、面白かった。巨人やこびとや妖精は元々いたのね。異民族の侵攻。古代ローマの影響。民間伝承。特に中世に物語文学として充実し、それが王権の権威付けに利用され、さらに発展したらしい。2015/06/15
歩月るな
15
1997年初版、インターネットもまだそれほどではなかった頃のこの本はコストパフォーマンスがすこぶる良かったのだろうと思う。バーンジョーンズ、ウィリアム・モリス、ウィリアム・ベル・スコットやらのラファエル前派の絵画がフルカラーで掲載されている。これがイメージの基本なのだ。登場人物たちそれぞれの自伝形式や何やら、各々の表現したいようにやっている。権威付け、と言うか日本の源氏やらとは事情が違う欧州世界の血の繋がりが本当にややこしい。それを反映している。しかしシェイクスピアは決してこの伝説を題材には取らなかった。2017/09/14
文吾
15
★★★★/図書館本。アーサー王伝説入門書。遥か昔の伝説が生まれた時代までさかのぼって説明してくれてます。絵が多くて文章も読みやすい。まだイギリスがなかった頃の話が興味深い。円卓の騎士の1人ガラハッドは聖杯を目にして天国に行ったらしいけど、天国へ行く条件がDTであることだったというのに衝撃を受けた。読んでると時々時系列に悩みました。2017/05/19