出版社内容情報
明治38年に福澤諭吉が生んだ一流紙『時事新報』の「分身同体」として創刊された『大阪時事新報』。同紙は、大阪発祥の大衆紙『朝日』『毎日』の牙城を脅かす存在とはなり得なかったが、「関西ジャーナリズム」のもう一つの姿を体現していた。啓蒙主義的市民主義を掲げて、関西に市民社会の移入を試みた名門紙の挫折の歴史を追うことで、新聞メディア衰退期の今こそ、その立ち返るべき地点をも逆照射する画期的な関西メディア史。
内容説明
新聞の未来をも逆照射する、「商業的負け組」のメディア史論。『朝日』や『毎日』の正史からは見えない、もうひとつの大阪。
目次
はじめに 関西ジャーナリズムの系譜学
序章 実業の都と福澤精神
第1章 大関西圏構築の夢―帝国を疾駆する「汽車博」
第2章 夕刊発行と時間軸の拡大―化け込み記者・下山京子
第3章 リベラルな場としての大阪社会部―主義者・難波英夫
第4章 距離を埋めるテクノロジー―「東京電話」
第5章 福澤精神の射程―主筆・土屋大夢がみた大衆
第6章 “二流紙”の日本主義―「メディアと戦争」異聞
第7章 「地方」の動員―新聞統合と大阪新聞の誕生
第8章 よみがえる大阪時事―戦後の復刊
おわりに 規範論を越えて
著者等紹介
松尾理也[マツオミチヤ]
1965年兵庫県生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。産経新聞社に入社し、大阪社会部、東京社会部、外信部を経てロサンゼルス特派員、ニューヨーク特派員、フジサンケイビジネスアイ編集長などを歴任。大阪芸術大学短期大学部に転じ、教授、メディア・芸術学科長。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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