出版社内容情報
船長・漁民・商人らの日常活動を分析、その情報取得や伝達の実態を読み解き、「海のリテラシー」を獲得する過程を明らかにする。近代以前、すでに大洋航海の技術やルートは確立されつつあったが、海の世界は依然として畏怖の対象であり、海の恩恵を得るためには「海のリテラシー」ともいうべき知識や経験の蓄積が不可欠であった。本書では、船長・漁民・商人・地域住民など「海民」の日常活動の分析を通して、海に関する情報の取得方法や伝達の実態を読み解き、彼らが「海のリテラシー」を獲得していく過程や海民の独自性、陸の歴史との関係性を明らかにする。
第?部 海を読/語る
第1章 難破譚の中の船乗り――近世ヨーロッパ船とサバイバルの条件
第2章 船乗りと航海譚(ヤーン)――英領アメリカ植民地における貿易と情報伝達
第3章 海のフォークロア――マルコーの『アルジェリア・スパイ』を中心に
第4章 海運業界紙の市況展望――19世紀前半におけるオーストリア領トリエステからみた両アメリカの可能性
第?部 海で/と生きる
第5章 貿易商人マテュラン・トロティエ――ナポレオン時代における合法奴隷貿易の利潤と情報
第6章 黒人船長ポール・カフィ―アボリショニズムと環大西洋商業ネットワーク
第7章 奴隷商人セオフィラス・コノウ――19世紀前半の環大西洋非合法ネットワーク
第8章 靴職人ジョセフ・ライ――19世紀初頭マサチューセッツ州リンにおける副業としての漁業
第?部 海が/を創り出す
第9章 石干見のアーケオロジー
第10章 近世フランスの北大西洋世界――港湾ネットワークからみた多重経済構造
第11章 18世紀フランスの《小さな港》――ミクロ資本主義の海域社会史
第12章 アメリカのもう一つのフロンティア――捕鯨業の盛衰と海民像
第13章 デンマークの西インド諸島――黒人奴隷制度史とカリブ海
田中 きく代[タナカ キクヨ]
阿河 雄二郎[アガ ユウジロウ]
金澤 周作[カナザワ シュウサク]
内容説明
近代以前、すでに大洋航海の技術やルートは確立されつつあったが、海の世界は依然として畏怖の対象であり、海の恩恵を得るためには「海のリテラシー」ともいうべき知識や経験の蓄積が不可欠であった。本書では、船長・漁民・商人・地域住民など「海民」の日常活動の分析を通して、海に関する情報の取得方法や伝達の実態を読み解き、彼らが「海のリテラシー」を獲得していく過程や海民の独自性、陸の歴史との関係性を明らかにする。
目次
海民の世界と海のリテラシー―一八・一九世紀の北大西洋海域から
第1部 海を読む/語る(難破譚の中の船乗り―近世ヨーロッパの船とサバイバルの条件;船乗りと航海譚―英領アメリカ植民地における貿易と情報伝達;侵犯する「海民」―『ペンシルベニアのアルジェリア人スパイ』を中心に;海運業界紙の市況展望―十九世紀前半におけるオーストリア領トリエステからみた両アメリカの可能性)
第2部 海で/と生きる(貿易商人マテュラン・トロティエ―ナポレオン時代における奴隷貿易の利潤と情報;黒人船長ポール・カフィ―アボリショニズムと環大西洋商業ネットワーク;奴隷商人セオフィラス・コノウ―一九世紀前半の環大西洋非合法ネットワーク;靴職人ジョセフ・ライ―十九世紀初頭マサチューセッツ州リンにおける副業としての漁業)
第3部 海が/を創り出す(石干見のアーケオロジー―大西洋沿岸域における石積み漁法に関する予察的研究;近世フランスの北大西洋世界―港湾ネットワークからみた多重経済構造;一八世紀フランスの“小さな港”―ミクロ資本主義の海域社会史;デンマークの西インド諸島―黒人奴隷制度史とカリブ海)
著者等紹介
田中きく代[タナカキクヨ]
関西学院大学文学部教授。関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了
阿河雄二郎[アガユウジロウ]
大阪外国語大学名誉教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学
金澤周作[カナザワシュウサク]
京都大学大学院文学研究科准教授。京都大学大学院文学研究科歴史文化学専攻西洋史学専修博士後期課程単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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