出版社内容情報
軍事史というと、戦史や戦略・戦術、兵器発達史などが想起されるが、本書で取り扱うのは「軍隊と社会の相互関係」である。従来、軍事史研究は戦争を反省する立場から学術分野ではタブー視されてきたが、そもそも軍隊のあり方や制度はその当時の社会状況を抜きには語れず、逆もまた然りである。本書では欧米の軍事史研究の最新潮流をふまえ、軍隊と社会、軍隊と国家、軍隊と文化などのテーマを具体的に論じ、軍事史研究の可能性を提示する。
目次:
序 章 軍事史研究の新しい地平
第1章 近世プロイセン常備軍における兵士の日常生活
――U・ブレーカーの『自伝』を中心に
第2章 マルプラケの戦い
――戦史と歴史学の出会い
第3章 カントン制度再考
――18世紀プロイセンにおける軍隊と社会
第4章 アルマン・カレルの生涯(1800~1836)
――フランス革命‐ナポレオン戦争の歴史と記憶
第5章 「セギュール規則」の検討
――アンシャン・レジームのフランス軍における改革と反動
第6章 近世スウェーデンの軍事経営とバルト海世界ネットワーク
第7章 地域住民とマレショーセ隊員
―― 王権の手先? あるいは民衆の保護者?
第8章 帝政期ドイツにおける徴兵検査の実像
――徴兵関係資料を手がかりに
第9章 第一次世界大戦下の板東俘虜収容所
――軍隊と「社会」
第10章 近世ヨーロッパにおける正戦とプロパガンダ
あとがき
【著者紹介】
1943年生まれ。広島大学文学部史学科西洋史学専攻卒業、同大学院博士課程修了。現在、中央大学文学部教授。研究テーマはプロイセン絶対主義、近世ドイツの国制史、「軍隊と社会」など。
著書:『プロイセン絶対王政の研究』(中央大学出版部)、『世界各国史 ドイツ史』(共著、山川出版社)、エストライヒ『近代国家の覚醒』(共訳、創文社)、ブレーカー『スイス傭兵ブレーカーの自伝』(共訳、刀水書房)ほか、ドイツ軍事史研究論文多数あり。
内容説明
徴兵、兵士の日常生活、戦闘、プロパガンダ、記憶…軍隊と社会の相互関係を考察、新しい軍事史研究の可能性を提示する。
目次
軍事史研究の新しい地平―「歴史学の一分野としての軍事史」をめざして
第1部 国制史からみた軍隊―戦闘・治安・徴兵(マルプラケの戦い―戦史と歴史学の出会い;地域住民とマレショーセ隊員―王権の手先?あるいは民衆の保護者?;帝政期ドイツにおける徴兵検査の実像―徴兵関係資料を手がかりに)
第2部 社会史からみた軍隊―兵士の日常・軍隊と社会(近世プロイセン常備軍における兵士の日常生活―U・ブレーカーの『自伝』を中心に;第一次世界大戦下の板東俘虜収容所―軍隊と「社会」;カントン制度再考―一八世紀プロイセンにおける軍隊と社会)
第3部 文化史からみた軍隊―プロパガンダ・啓蒙・記憶(初期近代ヨーロッパにおける正戦とプロパガンダ―オーストリア継承戦争期におけるプロイセンとオーストリアを例に;「セギュール規則」の検討―アンシャン・レジームのフランス軍における改革と反動;アルマン・カレルの生涯(一八〇〇~一八三六)―フランス革命・ナポレオン戦争の歴史と記憶)
著者等紹介
阪口修平[サカグチシュウヘイ]
中央大学文学部教授。文学博士。1943年大阪府生まれ。広島大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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