出版社内容情報
家族心理学と力動精神療法が交わって生まれた意欲作。親と子の思いのズレを心理面接のなかで見つめ、その成長プロセスを追う。
さまざまな思いを含んだ親の期待を、心理面接のなかで「明らめ」ることで、親の心に“空間・ゆとり”ができる。そうするなかで、親の思いどおりに動かそうとする操作性が「諦め」られる。それは、親自身の“成長のプロセス”とも言える。――本書では、「事例からまなぶ」ナラティブな視点から、家族システムのなかで起きている心の相互ダイナミクスを、活き活きと捉える。家族心理学と力動精神療法が交わって生まれた意欲作。
序 章 子どもの成長と期待
第1節 子どもの成長へのまなざし
不登校の子どもに接して
子どもの成長と親子関係
第2節 子育ての苦悩と親性
子どもを育てるということ
子育ての苦しみと喜び
第I部 親の期待とあきらめ
第1章 親の期待の心理学
第1節 《親の期待》をさぐる
ピグマリオン効果に見る教師と親の「期待」
「ずれ」と職業継承期待
学業・進学と親の期待
発達における親の期待
親の期待の領域・内容
第2節 ??親の期待?≠フ受け止め方
子どもはどう認知するか
子どもの性格特性
子どもの適応
期待に沿おうとする「よい子」
第3節 心理臨床における親の期待
不登校と親の期待
障害児・者を持つ家族
親の期待の位置づけ
第2章 あきらめの日本語臨床
第1節 文化的なあきらめの変化
あきらめの歴史
あきらめの心理
あきらめと疾病・喪失体験
第2節 心理臨床におけるあきらめ
面接過程にあらわれるところ
心理臨床における位置づけ
第3章 期待とあきらめのダイナミズム
第1節 思春期の親子関係とあきらめ
親の期待の影響
期待から見える親子関係
親の期待へのアプローチ
第2節 親子関係の変容プロセス
三つの視点と事例研究
第II部 事例研究 ――親の期待に焦点を当てて
第4章 不登校への支援 ――操作的期待・行き詰まり・あきらめ
第5章 ハンディキャップをめぐる家族の関わり
第6章 親の期待に沿おうとする子ども ――「迎合的自分」と親子関係
第III部 三つの事例をとおして
第7章 親の期待の両義性――操作性をめぐって
第1節 期待のあり方と両義性
親の期待の特徴
期待の両義性
第2節 親の期待の行き詰まりと苦悩
第3節 面接過程における変容――あきらめ
期待に含まれる操作性
行き詰まり そして期待の純化
第8章 子どもの視点から
第1節 操作的期待――期待に沿おうとする心理
第2節 行き詰まり――期待に沿えない危機
第3節 あきらめ――迎合的な自分と本当の自分
第9章 期待へのセラピストの関わり
第1節 期待の正当性と共感的理解
第2節 期待のあり方への注目――操作性の起源
第3節 行き詰まりを支える――セラピストの抱え環境
終 章 期待とあきらめの心理学 ―― 面接プロセス・モデル
第1節 期待の両義性――子どもへの影響
親の期待の両義性
子どもへの影響
第2節 期待のあり方とあきらめ
期待のあり方における操作性
あきらめの意義
第3節 面接のプロセス・モデル
親の期待の変容プロセス
セラピストの関わり
第4節 保護者への支援
心理臨床における親の期待
親の期待による理解の限界と可能性
子育てで悩んでいる保護者へ