コッホの『バウムテスト(第三版)』を読む

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コッホの『バウムテスト(第三版)』を読む

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  • サイズ A5判/ページ数 270p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784422115139
  • NDC分類 140.7
  • Cコード C3011

出版社内容情報

「診断と見立て」「十字象徴と空間象徴」など、コッホの重要テーマを岸本が取り上げ、それについて山中が臨床的連想を縦横無尽に語る。

コッホの『バウムテスト第三版』が独語から翻訳されたが、50年という時間の経過もあり、テキストを本当に理解するためには、実際の臨床と繋ぐ何かが必要であると考えた訳者の一人・岸本は、自身をバウムテストに繋いでくれた恩師・山中にその役目を依頼した。「診断と見立て」「十字象徴と空間象徴」「バウムの発達的側面」など、コッホの本の中で重要と思われるテーマを岸本が取り上げ、それについて山中が臨床的連想を縦横無尽に語る。

はじめに  山中康裕

第一部

第一章 基本姿勢
本書のねらい/コッホのバウムに対する姿勢/一対一対応でバウムを考えない大切さ/医学方法論と心理臨床の方法論の狭間で/与えられた有限の命を生きるということ/文化と表現

第二章 診断と見立て
判別と総合/診断から総合へ/診断とは何か/十字象徴の重み/十字象徴の源/水平方向と垂直軸のせめぎ合う所に木を見る/先走ったシュテッデリ/同一の心的状態の多様な表現/四体液説への言及の意味/立脚点をどこに置くか/コッホの考える「診断」/事例Aのバウムの見立て

第三章 木と人間
森の情景と人間社会/バウムテストの発明者はスタンリー?/想像力によって類比を見る/ロールシャッハテストの先駆けとしてのダ・ヴィンチ/最初のバウムの衝撃/木と人間の類似性/植物と動物/日本語に読み取れる木と人間の相応/投影の担い手としてのバウム/表現の留め金としてのバウム/表現への衝動/美を追求することの落とし穴

第四章 十字象徴と空間象徴
バウムの基本図式/クロイツ・クロスの意味/上下と左右/右手文化と左手文化/空間象徴の背景にある実験/グリュンヴァルトの空間象徴における三層/空間象徴図式の次元性/解釈のもとになる理論を意識する

第五章 空間象徴図式の適用の実際
空間象徴理論の適用の具体例/定位空間/成長方向/管状枝か?/アンビバレンツ/空間象徴図式の理解から描き手の理解へ/バウムから何を読み取るか/テストも必要

第六章 バウムの発達的側面
バウムと発達/発達への視点/曼荼羅象徴/発達指標を見ていく前に/部分を足しても全体にならない/発達への三つのアプローチ/早期型の重みづけ/縦断研究をもとに/退行と順行/発達研究の重要性/心の発達と体の発達

第七章 早期型と退行
早期型をどう理解するか/コッホの限界設定/退行とは何か/ユングの神経症理解/「エス」と「それ」/神経症と窓理論/『グラディーヴァ』に見る神経症理論/無意識に規定された存在/意識と無意識/部分的遅滞/「もの」と「こと」の双方を見る

第八章 具体的事物に縛られない線
具体的事物に縛られない線とは?/筆相学と筆跡学/意識の弛緩状態と樹冠の表現/線の太さと筆圧/表現の場としての樹冠/どこから起始するか/怒りの状態で描かれた具体的事物に縛られない線/クレーの影響について/怒りの三様/文化の違い/フランスについて/スイスドイツ人について/風景構成法に見られる地誌的な影響

第九章 描画のプロセス
ヴィトゲンシュタイン指数/プロセスを見守る/治療の媒体としてのバウム/ヴィトゲンシュタインについて/関係性を基盤に/ヴィトゲンシュタイン秘話/テスターとして割り切る/贈り物/木の向こう側/世界樹

第二部

シンポジウム「コッホの『バウムテスト[第三版]を読む」から
コッホの基本姿勢/心理臨床家の本命/診断と治療/バウムテストとの出会い/どう記述するか/低在枝(Tiefliegende Aste)/精神発達遅滞の診療経験から/縦断研究から/枝とは何か/ブドウについて/臨床の根本を忘れない
「質疑応答」より

象徴としての木――特に日本における木に焦点を当てて
宇宙樹/連綿と続く生命/梓あずさ弓ゆみと檀まゆみの木

おわりに  岸本寛史

付録 日本のバウムテスト文献一覧(一九五八~二〇一〇年) 作成:佐渡忠洋

内容説明

コッホのテキストと現代の心理臨床をつなぐ。初版公刊後50年以上をへて、ようやくその真の価値が見直されたコッホのテキストを、現代の臨床の場で本当に生かすためには、どう読み、どう理解すればよいか。知識と経験をもとに二人の臨床家がくり広げる豊かな語りの世界。

目次

第1章 基本姿勢
第2章 診断と見立て
第3章 木と人間
第4章 十字象徴と空間象徴
第5章 空間象徴図式の適用の実際
第6章 バウムの発達的側面
第7章 早期型と退行
第8章 具体的事物に縛られない線
第9章 描画のプロセス
シンポジウム 「コッホの『バウムテスト(第三版)』を読む」から
象徴としての木―特に日本における木に焦点を当てて

著者等紹介

山中康裕[ヤマナカヤスヒロ]
1941年生まれ。1966年名古屋市立大学医学部卒業。1971年同大学大学院医学研究科修了。南山大学文学部助教授、京都大学教育学部助教授、同学部教授、同大学大学院教育学研究科長、同学部長をへて、現在、ヘルメス研究所所長。浜松大学大学院教授。京都大学名誉教授。精神科医、臨床心理士

岸本寛史[キシモトノリフミ]
1966年生まれ。1991年京都大学医学部卒業。現在、京都大学医学部附属病院准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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tuna

1
「このサインがあるので統合失調症、このサインが描けていないから統合失調症というバカなことをやるためにバウムは必要ないのです。」「私が見えていると思い込んでいる部分ではない部分をテストに委ねお願いしているわけです。」―原点であるコッホの実際、木を描く意味は何か、臨床としてのバウムの位置づけ、 バウムテストの多様な解釈や研究はどう理解されるのがよいか、といったことが議論されている。バウムテストをどう理解するべきか、自分の中に位置づけるべきかを考えさせてくれる。面白いですよ。2012/10/23

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