出版社内容情報
【内容紹介】
対人関係療法(=IPT)は認知療法と共にその有効性が十分に検証されている数少ない心理療法の一つである。もともとはうつ病の治療法として開発されたが、その後さまざまな症状の改善にも効果が実証され、ことに対人関係に多くの問題をもつ摂食障害の治療には高い治療効果をもつことが分かっている。本書は、グループでの対人関係療法の試みについて解説した初めての本。理論的枠組みのみならず、治療の進め方などがきわめて具体的に書かれており、実用性の高い内容になっている。
【詳細目次】
第1部 導入、背景、理論
第1章 対人関係療法の背景、概念、グループ療法への適用
対人関係療法(=IPT)の経験的・理論的枠組み
IPTの概念と方法
対人関係療法のグループへの適用
第2章 期間限定グループという治療法について
グループ精神療法の効果
グループの枠組を作る
グループの構成
治療開始前の準備
治療者の積極性を計画する
共同治療の利用
グループの発達
他のグループ療法モデルとIPT-Gとの比較
期間限定グループ精神療法の原則
第2部 患者個人の評価とグループ開始前の準備をする
第3章 IPT-Gに向けての評価と準備
評価の一般的アプローチ
グループ開始前の個人面接
目標の設定
むちゃ食い障害の患者の目標の例――対人関係の欠如が問題領域の場合
うつ病の患者の典型的な目標例
グループでの作業に向けての準備
まとめ
第3部 グループ
第4章 初期
第1セッション:開始
第2セッション:メンバーの役割
初期の最後の段階 第3~第5セッション
第5章 中期
対人関係上の役割をめぐる不和
役割の変化
対人関係の欠如
中期のグループの促進
中期を終わらせる
第6章 終結期
終結について明確に話し合う
悲哀になりうる時期
終結に対するネガティブな気持ち
進歩を振り返る
治療成果の維持
初めの契約の終了
フォローアップ面接
第4部 臨床とトレーニングにおける問題
第7章 IPT-Gでグループのプロセスを進めやすくする技法
IPT-Gの技法
難しい患者の扱い方
第8章 IPT-Gの対人関係への焦点づけを強める技法
対人関係質問項目の情報を紹介する
グループの要約
自助マニュアル
【関連書】
『自分でできる対人関係療法』(ISBN:4422113216)
【訳者紹介】
水島広子(みずしまひろこ)
1968年3月東京生まれ。
慶応義塾大学医学部卒業・同大学院修了(医学博士)。思春期前後の問題や家族の病理、漢方医学が専門。慶応義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、現在、慶応義塾大学医学部客員講師(精神神経科)。
主な著書に、『自分でできる対人関係療法』(創元社)、『国会議員を精神分析する』(朝日選書)、『やりたいことは、やってみよう』(大和書房)『親子不全<キレない>子どもの育て方』(講談社現代新書)、『「やせ願望」の精神病理~摂食障害からのメッセージ』(PHP新書)『専門家がやさしく教える「うつ病」』(PHP研究所)、『セクハラ これが正しい対応です』(共著、中央経済社)などがある。
夫と娘(6歳)・息子(2歳)とともに宇都宮市在住。
目次
第1部 導入、背景、理論(対人関係療法の背景、概念、グループ療法への適用;期間限定グループという治療法について)
第2部 患者個人の評価とグループ開始前の準備をする(IPT‐Gに向けての評価と準備)
第3部 グループ(初期(第1~第5セッション)
中期(第6~第15セッション) ほか)
第4部 実際の臨床における問題(IPT‐Gでグループのプロセスを進めやすくする技法;IPT‐Gの対人関係への焦点づけを強める技法)
著者等紹介
ウィルフリィ,デニス・E.[ウィルフリィ,デニスE.][Wilfley,Denise E.]
サンディエゴ州立大学/カリフォルニア大学の臨床心理学共同博士課程プログラムの心理学助教授および摂食・体重障害センター長。IPTをグループ形式(IPT‐G)にはじめて適用
マッケンジー,K.ロイ[マッケンジー,K.ロイ][MacKenzie,K.Roy]
ブリティッシュコロンビア大学の精神医学の臨床教授。集団療法について広く文献を発表
ウェルチ,R.ロビンソン[ウェルチ,R.ロビンソン][Welch,R.Robinson]
サンディエゴ州立大学/カリフォルニア大学の臨床心理学共同博士課程プログラムの摂食・体重障害センター臨床部長
エアズ,バージニア・E.[エアズ,バージニアE.][Ayres,Virginia E.]
個人開業の臨床心理士。ギャノン大学大学院で心理学の講義を担当
ワイスマン,マーナ・M.[ワイスマン,マーナM.][Weissman,Myrna M.]
IPT創始者のひとり。コロンビア大学の医学部およびジョセフ・L.・メイルマン公衆衛生学部の精神医学・疫学教授。ニューヨーク州立精神医学研究所臨床・遺伝疫学部長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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