こころの未来選書
発達の非定型化と心理療法

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  • サイズ A5判/ページ数 201p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784422112299
  • NDC分類 146.8
  • Cコード C3311

出版社内容情報

「発達障害」とは見立てられないが発達に何らかの脆弱性を抱えた事例の数々を検討しながら、心理療法的アプローチの有効性を提唱。ここ数年、「発達障害」の診断を受けて来談しながら、そのようには見立てられない事例が心理療法の現場で増えてきている。これは単に過剰な診断によるものなのか、それとも問題そのものが変化しつつあるのか? 本書では、「発達の非定型化」という視点から、こうした発達障害とは見立てられないものの発達に何らかの脆弱性を抱えた事例の数々を検討しながら時代的・社会的要因を探り、心理療法的アプローチの有効性を提唱する。

目 次


第I部 概 説

第1章 発達障害の増加と発達の「非定型化」

第II部 事 例

第2章 ぶつかることによる枠組みの創造
    ――落ち着きのなさを主訴に来談した小学生男児とのプレイセラピー

第3章 「変骨」な主体のあり方と心的基盤の構築
    ――問題行動を契機に来所した思春期男子との心理面接

第4章 隠された主体
    ――大人になりたくなかった20代女性の事例から

第5章 イメージにおける境界の成立
    ――騒音被害を訴えた成人男性との面接過程から

第III部 研 究

第6章 発達障害の広がりとその心理療法
    ――「グレイゾーン」の細やかな識別と「発達の非定型化」という視点

第7章 発達障害とは見立てられない子どもとそのプレイセラピーの特徴

第8章 非定型化する若者世代のこころ
    ――現代の対人恐怖とアグレッションのかたち

註および文献
人名索引
事項索引
あとがき

河合 俊雄[カワイ トシオ]
河合俊雄(かわい・としお)
1957年生。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程中退。PhD.(チューリッヒ大学)。ユング派分析家。臨床心理士。現在、京都大学こころの未来研究センター教授。専攻は臨床心理学。著書『ユング』『村上春樹の「物語」』『心理臨床の理論』『ユング派心理療法』(編著)『発達障害への心理療法的アプローチ』(編著)『大人の発達障害の見立てと心理療法』(共編著)など。

田中 康裕[タナカ ヤスヒロ]
田中康裕(たなか・やすひろ)
1963年生。上智大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(心理学)。ユング派分析家。臨床心理士。現在、京都大学大学院教育学研究科准教授。専攻は臨床心理学。著書『魂のロジック』『大人の発達障害の見立てと心理療法』(共編著)『発達障害への心理療法的アプローチ』(共著)『「発達障害」と心理臨床』(共著)『心理療法の交差点2』(共著)など。

内容説明

発達障害とは見立てられないものの発達に何らかの脆弱性を抱えたクライエント。心理療法の現場で増えてきているこうした事例の数々を「発達の非定型化」という視点から細やかに検討し、時代的・社会的要因を探りながら、心理療法的アプローチの有効性を提示する。

目次

第1部 概説(発達障害の増加と発達の「非定型化」)
第2部 事例(ぶつかることによる枠組みの創造―落ち着きのなさを主訴に来談した小学生男児とのプレイセラピー;「変骨」な主体のあり方と心的基盤の構築―問題行動を契機に来所した思春期男子との心理面接;隠された主体―大人になりたくなかった20代女性の事例から;イメージにおける境界の成立―騒音被害を訴えた成人男性との面接過程から)
第3部 研究(発達障害の広がりとその心理療法―「グレイゾーン」の細やかな識別と「発達の非定型化」という視点;発達障害とは見立てられない子どもとそのプレイセラピーの特徴;非定型化する若者世代のこころ―現代の対人恐怖とアグレッションのかたち)

著者等紹介

河合俊雄[カワイトシオ]
1957年生。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程中退。PhD.(チューリッヒ大学)。ユング派分析家。臨床心理士。現在、京都大学こころの未来研究センター教授。専攻は臨床心理学

田中康裕[タナカヤスヒロ]
1963年生。上智大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(心理学)。ユング派分析家。臨床心理士。現在、京都大学大学院教育学研究科准教授。専攻は臨床心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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素人

2
セラピスト個人の面接技法が、クライエントの状況改善に関してそれほど目立った役割を果たしていないように見えるのが意外だった。前半の事例集や第7章の考察を読むと、面接の枠組み(特定の場所で同じ人と定期的に面談する)やクライエントとセラピストという関係性(家庭・学校・職場の利害を離れた一対一の関係)がクライエントに変化をもたらしている部分が大きいように感じる。医療・福祉系の仕事をしていたら、心理職でなくても結果としてセラピストの役割を果たすことはありそうだな、と思った。2021/06/06

turnesol

0
 発達障害に生物学的な基礎があるとしても、社会環境の変動に基づく意識の変化によって、発達障害的なあり方が生み出されやすくなっていると考えられる。・・・そのように発達障害とされる事例が増えるのは、従来は社会構造や生き方が定型的であったために主体性の弱さが目立たなかったのに、それが緩んでくるに伴って、主体性の弱い人が定型的な発達からずれやすくなっていることによると考えられるp142019/03/04

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