出版社内容情報
【解説】
思春期の女性の心の危機に焦点を絞って心理臨床の経験をフィクション化し,報告したもの。特に面接には,箱庭・粘土・手芸など非言語的媒体を用い,時間を過ごすことを強調。
内容説明
これまでの15年あまりの私の心理臨床の体験をもとに、思春期の女性たちの心の危機の諸相と、それに対する心理治療者の具体的な対応を、フィクションの形で自由に描いてみました。フィンションではありますが、単なる絵空事ではなく、“心理的次元”では充分に事実に根ざしたものとお考え下さい。
目次
序章 私が歩んできた心理臨床への道
第1章 瑠璃子―「母親が嫌い」と言う知的少女
第2章 早知―「セミになりたかった」いじめられっ子
第3章 志織―人が怖くて学校へ行けない
第4章 冬芽子―食物を食べられなくなった頑張りやさん
第5章 律恵―「自分らしさ」を求めて
第6章 「白鳥」になりたい女性たち―ナルシズムをめぐって
第7章 女子青年にとっての思春期―女子学生の回想から
終章 技法上の留意点
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まなまな
1
それぞれの事例ももちろん、個人的には冒頭にあった大学院へ通いながら実習に行っていた著者の体験談が大きく印象に残った。程度の重い精神疾患を持つクライエントとかかわることは他にない経験なんだろうなと考えた。また、子どもと関わるにあたり粘土や手芸を用いるというのは初めて聞いた。著者はクライエントからものを受け取ることもあるとのことだったが、今は一般的に無いだろうしそう言った心理職における倫理は当時と今とで違うことは多そう。2023/06/26
ほわわん
0
思春期女性の心模様を、説明していた。 大人になって読んだのですが、思春期の方が読むといいのかなと思いました 思春期の中にいる人への優しさが、文章にある気がしたのですが、思春期女性が読むとどうなのでしょうか。 もやもやした心が言葉になってるのですが、フィルターが重たく感じた。生々しさは、なくて穏やか2016/11/08
cf13
0
思春期特有の心の動きがよく表されていると感じたと同時に、私自身の思春期は随分と遅かったかもしれないとも感じる。この時期特有の些細な心の動きに寄り添っていくためには、“入り込みすぎてしまわないこと”もひとつのキーポイントになるかもしれないとも感じた。2015/06/24